よみうり進学メディア

埼玉 高校レポ
2020.11.7

実験を通し、原理を感覚的に学ぶ 埼玉平成高校(毛呂山町)

【特集 これが高校の授業だ】

学校期待の大型新人

埼玉平成高校では1年生・物理基礎の授業を見学しました。担当は印出井知希先生。「いんでい」と読みますが、生徒からは「インディ」と呼ばれているそうです。学生時代はプログラミング教育について研究していました。この学校に赴任してまだ2年目、26歳の若さですが、大柄な体格のせいもあって堂々として見えます。杉木校長先生の言われるとおり正に期待の大型新人です。

右脳を通して教えるとは

物理基礎では、物体の運動とエネルギーや、さまざまな物理現象について学びます。高校入試で苦戦している人も多いかもしれません。

この日のテーマは浮力で、浮力F(N)は、「液体の密度(ρ)×物体が液体に浸かっている体積(V)×重力加速度(g)」で求められる、すなわち、「F=ρVg」であることを学ぶ授業でした。中学でも浮力については学んでいると思いますが、少しばかり難易度が上がります。

最終的には公式にたどり着くものですから、黒板やスライドだけでも授業は可能です。でも、先生は実験にこだわります。インディ流の表現を借りれば、「右脳を通して教える(学ばせる)」のだそうです。

現象を視覚的にとらえ、手の感覚としても身体の中に定着させます。物理というくらいですから理屈の世界なのですが、ここに感覚を持ち込もうというのが先生の試みのようです。

実験用具は先生からのメッセージ

実験用具は先生の手作りです。材料は100円ショップなどで仕入れるそうです。同じ条件で同じ結果が出なければなりませんから、班の数だけ用具を作るのはかなり骨の折れる作業になるはずです。

生徒も一目見ればそのことが分かりますから、全員が積極的に実験に参加しようとします。それはそうでしょう。先生がおそらく夜遅くまでかかって作ったであろう実験用具を粗末に扱うことはできません。

手作り実験用具は先生からのメッセージです。それによって先生と生徒の心がつながっているのです。もしかしたら、この科目は「物理基礎」よりも「コミュニケーション物理」とでも呼んだほうがいいのではないか。そんな印象さえ抱いた先生とクラスが一体となった授業でした。

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