大正10年創立の深谷商業高校は、県立の商業高校としてはもっとも古い歴史を持ちます。開校翌年には近代日本資本主義の父と称される渋沢栄一が同校を訪れ、「至誠」「士魂商才」の言葉を残しました。以来これが同校の校訓として受け継がれています。
同校には商業科・会計科・情報処理科の3学科がありますが、今回は主に情報処理科の授業や施設を見学しました。
高度資格めざすのは伝統校の誇り
商業高校や工業高校では、どの学校も資格取得に力を入れていますが、同校の特徴は、目指している資格の難易度や合格率の高さにあります。
例えば情報処理科の場合であれば、「応用情報技術者試験」「基本情報技術者試験」「ⅠTパスポート試験」などを受験し、多くの合格者を輩出しています。中学生の皆さんには初耳かもしれませんが、これらは経済産業省が実施しているもので、大学生や社会人も受ける試験です。「大人相手に真っ向勝負」といったところですが、このあたりが伝統校に学ぶ生徒としてのプライドなのでしょう。毎年連続してこれだけの合格者を出している学校は他に見当たりません。
資格は就職や進学の際、大きな武器となります。就職100%は当然として、中央大・東洋大・日本大など大学進学者(指定校推薦による)が多いのも同校の特色となっています。
プログラミングからプレゼンテーションまで
情報処理科が目指しているのは資格取得だけではありません。
就職者を念頭に、ビジネスソフトの活用のほか、画像処理なども学びます。大学進学者を念頭に簿記や原価計算といった商業基礎科目の習得も目指します。
さらには、就職でも進学でも必要とされるプレゼンテーションスキルの向上も目指しています。生徒は各種プログラミング言語を学んでいますが、それによって独自のソフトを作成し、最後はそれをプレゼンテーションするといった授業(3年必修科目)も行われています。
当日見学した授業はすべて複数の先生(2~3人)による指導が行われていました。恵まれているのは施設だけではないと感じました。
渋沢栄一と深谷商業
同校正門前に立つと、いかにも歴史を感じさせる萌黄色(もえぎいろ)の校舎が目に飛び込んできます。これは、県内に唯一現存する木造校舎で、二層楼(にそうろう)と言います。国の登録有形文化財に指定されています。
創立時の校舎は老朽化が激しく、一時は取り壊しの危機にさらされましたが、多くの卒業生や全国の文化財愛好者から存続を望む声が寄せられました。また、県も貴重な県民財産であると認め、大改修工事が行われることになりました。現在の建物は平成23(2011)年から平成25(2013)年にかけて行われた保存修理工事の結果、内外装ともに創建当時の姿に再現されたものです。
校内行事や部活動で使用するほか、深谷商業記念館として一般公開もされています。
深谷商業の創立にも関わった渋沢栄一は、大正11(1922)年、完成間もない二層楼を訪れ、「至誠」「士魂商才」の書を残しました。これが校訓として受け継がれていることは冒頭でも触れました。校舎脇には渋沢翁によって植樹された松の木が残っています。
【学校基本情報】
【創立】1921年(大正10年)
【生徒数】832人(男348人 女484人)
【学科】商業科・会計科・情報処理科
【所在地】深谷市原郷80
【アクセス】JR高崎線「深谷駅」東口から徒歩15分
【前年度入試データ】
▼商業科 募集人員160人、受験者161人、入学許可候補者159人、倍率1.01倍
▼会計科 募集人員40人、受験者34人、入学許可候補者36人、倍率0.94倍
▼情報処理科 募集人員80人、受験者77人、入学許可候補者77人、倍率1.00倍
【直近の説明会等】
令和3年7月30日(金)体験授業
令和3年8月6日(金)体験部活動
令和3年8月28日(土)体験部活動
令和3年8月29日(日)体験部活動
深谷商業高校WEBサイト https://fukasyo-ch.spec.ed.jp/