北区王子で創立99年目を迎えた東京成徳大学高等学校。
国が掲げる教育目標「基礎学力の充実」「思考力・判断力・表現力の育成」、グローバル教育やICT教育などで、大きく先行する。
同校の特色は、生徒と共に創り上げる授業。このため、双方向のコミュニケーションをなによりも大切にする。
創立百周年に向けて、全教職員が一体となり「徳を成す」という建学の精神、グローバルな視野を持った生徒の育成を目指し、とりわけ「学力の一層の向上」を実現すべく、様々な課題に挑戦して
いる。
人生のビックロックは、教育を支える3本の柱で
「本校の教育方針は、 『成徳』の精神を持つグローバル人材の育成にあります。創立100周年に向け、改めて建学の精神である『徳を成す』について考える機会を生徒・教員共に作っています」と話すのは、同校教頭の西山喜三男先生。
西山先生は続ける。「本校の教育には3つの柱があります。『勉強と部活動を両輪とする文部両道の推進』『自分を深める学習を通じて、自らの生き方や人・自然・社会との繋(つな)がりを考えさせること』『自分の適性を考え広い視野で進学を考えること』です」。
「自分を深める学習」は建学の精神にも繋(つな)がる同校オリジナルのプログラムだ。
1年次の夏、戸隠の校外学習で、他者や自然と自分との繋(つな)がりを仲間たちと共に考え、語り合うことを皮切りに、「自分を深める学習」がスタートする。「友情とは」「生きるとは」「家族とは」。授業だけでなく、学校行事などを通じても、生徒たちは様々なテーマを考えさせられる。
「あたり前の日常はあたり前ではなかった」「やらないで後悔するより、まずやってみる」など、生徒たちは気づいていく。
一昨年からの民法改正によって、高校3年生は誕生日と同時に「成人」となる。権利と同時に自己責任も大幅に増加する。
自分を深める学習での気づきは生涯に渡り継続されていき、悔いのない人生を送ることに繋(つな)がっていくはずだ。 特色ある進路指導で、自らのストーリーを創ろう
進学のためのプログラムも同校の特色のひとつだ。
1年次4月の基礎学力診断からスタート、3年次の大学入試直前までほぼ毎月、進学のためのプログラムが実行される。
西山先生は「『文系・理系選択のための適性検査』、『80校以上の大学の担当者を迎えての校内説明会』などを実施します。生徒たちのモチベーションを高め、一人ひとりのストーリーを創っていくことを願っています」と話す。
同校には、プロの進路アドバイザー資格保持者が何人もいる。
苦手分野克服のための課題提示、夏期・冬期の76講座の進学講習などに加えて、ほぼ毎学期に2者面談・3者面談を実施し、本人の適性に合った進学先を見つけていく。
西山教頭は、続ける。 「今年度から、特進Sクラス3年生の希望者を対象に、予備校講師による放課後講習を実施しています。難関国公立大学合格を目指して半数以上の生徒が参加しており、満足度は極めて高くなっています」。
同校の生徒たちの進路実現に向けて、バックアップの本気度を感じさせる。
前年度卒業生の実績では、現役での大学進学率は85%。 東京都の国・公・私立高校の平均が71%前後(令和5年度学校基本調査)であることから見ると極めて高い。系列の大学・短大への内部進学制度もあるが、国公立や難関大、著名大学への進学が目立つ。
同校は、高等部のほかに中高一貫部を持つが、ここに掲げているのは、あくまで高等部だけの実績だ。一貫部とは、校舎だけでなく教育プログラムも別個になる。
完全に独立した高等学校教育が、隠れた同校の特色となっている。
ICTの活用は、平素の生活の一部に進化
「本校では1人1台iPadを所有しており、学習・進路決定・面談など、様々な場面で積極的に活用しています。プラットフォームの機能を駆使して個別対応の充実を図るなど、生徒たちには不可欠なものになっていると思います」。
各教室には、プロジェクターとスクリーンが完備され、動画の視聴や生徒同士の意見共有に活用するなど、双方向のコミュニケーション強化をはかりつつ授業の深化を目指している。
ICTの活用は教員の事前準備の手間が増えることから、良い授業へ向けて、現在も試行錯誤は続いている。
「教員の努力と熱意がそれを支えています」西山先生は、先生方の活動に全幅の信頼を寄せる。
部活に、学校行事に、生徒たちの熱気が、はじける
部活動では、人工芝が敷き詰められたナイター設備のあるグラウンド、5つある体育館、温水プールや弓道場、テニスコート、プラネタリウムなどの恵まれた施設で、運動部22、文化部22、同好会18が活動する。
生徒たちの85%がどこかに所属する。
硬式野球部は「夏の甲子園」東東京大会で第4回戦を戦い、女子バスケットボール部はインターハイに出場。演劇部の短編都大会優良賞受賞など、各部の活躍が目立つ。
生徒たちの学校行事に、全力投球する姿が印象に残った。
DDRで生きた英語を学び海外留学をサポート
DDR(Discussion and Discovery Room)にはネイティブ教員が常駐し、海外留学のサポートや英検対策、大学入試対策を積極的に行っている。
留学制度では、1年間の留学や短期での留学があり、文部両道の観点から短期留学を積極的に推奨している。語学研修だけではなく、探究学習への取り組み、異文化交流も目的とする。
『成徳』の精神を持つグローバル人材として、多くの生徒が社会のそれぞれの場面で活躍できるよう、全教員で頑張っています」と西山教頭は締めくくった。
ある大学教授が大きな壺を取り出して岩を入れ、学生達に聞いた。「これで満杯か?」。「満杯です」こう学生達が答えると、教授は砂利で岩の間を埋め、「これで満杯か?」学生達はもう答えられない。教授はさらに岩と砂利の間に砂を入れ、最後に水を注いで言った。「大きな岩を先に入れない限り、それが入る余地は二度とない。『大きな岩』は君達にとって一番大切なものだ。それを最初に君自身の壺に入れなさい。順番を間違えると、君たちの人生はつまらないもので満ちてしまうだろう。」(同校教材より要約)
ビックロックとは、同校の『成徳』の精神そのものであり、君たちにとって一番大切なもののこと。長い人生を生きていく上での礎となる大きな岩を高校時代に探し求め、心の中に詰め込んで欲しいという願いが込められている
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