いよいよ1学期も後半、受験生の夏が到来した。
公立高校はまもなく、県のホームページに学校説明会・体験入学・文化祭などの日程が発表される。私立高校の説明会情報は既に、私立中学高等学校協会のホームページに発表されている。新型コロナ感染症予防のため、申し込み制や定員制になるなど制約は多いが、ぜひ参加しておきたい。
部活の大会、体育祭、会場テスト、各種検定の資格取得など落ち着かない日々が続くが、いろいろな機会を生かして情報を集め、自分を伸ばしてくれる学校とめぐり合ってほしい。
公立高校の募集人員が発表された。
現在の中学3年生は、前年より19人減少している(3年度学校基本調査)。
数年前から公立高校志望者の割合が減少し、前年度では1,680人余りの欠員補充が出た。
また、公立中学校の卒業予定者は約200人減少する。これらを受けて、全日制の募集人員は15学級600人の減となり、さらに統合再編によって3学級120人の定員減となる。
定員減となったのは、朝霞、浦和北、越ケ谷など県立15校。さらに「魅力ある県立高校づくり」第一期計画に伴い、飯能と飯能南の統合で3学級の募集減、新校は普通科高校となる。また、児玉と児玉柏楊の統合による新校は、ほぼ前校の学科が踏襲される。
募集人員の増減は、該当する学校の倍率だけでなく、近隣の競合校の倍率にも影響する。
今後の受験生の動向に注意が必要だ。
〇公立高校の募集人員について詳しくは:よみうり進学メディア
〈2023年入試〉埼玉県 公立高校「募集人員発表 合計720人減」-令和5年度
・募集を停止する学校
飯能、飯能南、児玉、児玉柏楊
・募集を開始する学校
飯能新校(仮称)、児玉新校(仮称)
・全日制募集減
川口、浦和北、大宮東、上尾鷹の台、桶川、朝霞、志木、川越西、富士見、越ケ谷、草加南、春日部女子、庄和(以上普通科)、 狭山経済・会計、所沢商業・ビジネス会計
令和5年度入試の選択問題採用校と出題の基本方針が既に発表されている。選択問題採用校は、昨年の22校から変化はない。
・選択問題採用校
浦和・浦和第一女子、浦和西、市立浦和、大宮、市立大宮北、川口北、川口市立、蕨、和光国際、川越、川越女子、川越南、所沢、所沢北、熊谷、熊谷女子、熊谷西、不動岡、越ケ谷、越谷北、春日部
出題の基本方針は、以前WEB版で紹介したように中学校での学習内容とされており、大きな変更は無い。
7月には公立高校の入試要項と選抜要領、各校の選抜基準などが発表される予定となっている。
気になる高校の教育内容や部活の活動状況、選抜基準などを調べ、学力や評定などで目標値を設定し、それを目指して夏を過ごそう。
受験に必要な学力を付けること。志望校にめぐり合うこと。夏は、受験生の活動の時だ。
これまでに県内・都内の私学の進学フェアが既に実施されているが、7月以降では、埼玉私学フェア熊谷・川越・大宮(埼玉県私立中高協会主管)、彩の国私学進学フェア(読売エージェンシー主催)、東京都私立学校展(東京都私立中学高等学校協会主催)、10月には、越谷・春日部で入試ファースト(埼玉教育ネット主催)などが実施される予定となっている。予約制や時間による入れ替え制などの制約はあるが、話を聞いてみたい学校を絞り、聞くポイントをまとめて参加してみよう。きっと有意義な一日が過ごせるはずだ。
各学校でも、説明会や相談会、見学会、体験入学、部活体験など、形式は様々だが受験生に自校を知ってもらう機会を提供している。
インターネットなどで各学校のこうした見学企画を調べ、参加し、高校での生活に触れて、志望高校に出会って欲しい。
公立高校の入試では調査書が用いられ、各学校が定める基準によって、項目ごとに点数化される。学力検査と一定の比率で加算され、選抜に使用されることになる。
調査書には、中学校での3年間の成績(各教科の評定)、総合的な学習の記録や、選択教科の評定、生徒会や学級活動、部活動の実績、出欠の記録、その他‐英検や漢検の取得級位‐など、中学校での活動が記載される。
特に選抜で重視されるのが各教科の評定だ。学期ごとに学校から渡される通知表(注)には、学期ごとの成績と、評定の基になる観点別評価が記載されているが、調査書には3年間の総合成績が記載される。調査書の3年次は、4月から12月中旬までの成績になる。
調査書の評定については、12月中旬以降、希望者は担任の先生から口頭で教えてもらえる。
また1月には、調査書と同一内容の「通知書」が発行され、志望校を決める際の参考にできるようになっている。(注:学校によって名称が異なる場合がある。)
〇調査書の各高校の基準について詳しくは:よみうり進学メディア
〈2023年度入試〉埼玉県 公立高「各高校の選抜基準」を発表-令和5年度
調査書の各教科の評定は観点別評価を基にして決定される。6月号のWEB版※で説明したが、前年4月から中学校の新学習指導要領が施行され、それに伴い通知表の観点別評価も観点の変更が行われた。
「知識・理解」は定期テストが大きなウエイトを占めると考えられる。
「思考・判断・表現」は、日々の授業の中で問題意識を持って、自ら考え、判断し、発表することが必要となる。
「主体的に学習に取り組む態度」は、積極的に授業に臨むこと、宿題や課題の提出などが重要な評価の対象となる。
これから受験まで、定期テストだけではなく、日々の授業を真剣に、積極的に取り組む必要があるということだ。
夏休み期間中に、過去の入試問題を見て、解答の仕方や、記述問題の内容などを調べておくことも重要なポイントだ。
もちろん現時点では習っていないことも多いが、各教科で既に習った内容が出題されていることに気付くことだろう。
忘れていた1・2年生の内容の復習ポイントをチェックし、出題の形式や各教科の文章問題の量を見ることで、今後の勉強方法を考えることができるなどの効果がある。
このためできれば、複数年度の過去の問題を手に入れて研究しておきたい。
令和2年春から国と県の私立高校生に対する学費助成制度が拡大した。
国からの就学支援金は、家庭の年収の目安590万~910万円未満が年11万8800円、590万未満が39万6千円などとなる。
また埼玉県では、県内私学入学生に対しての「父母負担軽減事業」という助成金制度がある。国の支援金に加えて支給され、家庭の年収目安720万未満~590万では、国とあわせ授業料37万8千円、590万円未満~では39万6千円、さらに609万円未満では入学金支援10万円、年収500万未満では、加えて設備費等20万円が助成される。
詳細は、各私立高校または、県総務部学事課へ。
夏の大会までで部活動を引退する人も多いと思う。そこからが本当の受験生だ。
コロナ禍が続く中ではあるが、公立高も私立高も皆さんを受け入れる準備を着々と進めている。
体調に留意して、自分なりの計画を立てて、実行していって欲しい。
実行できたなら、それが皆さんの、今後への自信に変わっていく。
(岩佐教育研究所 岩佐桂一)
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