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大逆転のエピソードをお望みのようですが、筆者は直接に受験勉強を教える立場ではありませんので、そのような事例をご紹介することはできません。ただし、あるとは思います。中学校や塾の先生に尋ねてみてください。ネットで探せば、そのような話もみつかるかもしれませんが、信ぴょう性に欠けます(本当かどうかよく分かりません)。
偏差値は、絶対的なものではなく、受けるテストごとに数字の出方は異なります。その前提で話しますが、仮に5教科500点満点のテストだとしたら、偏差値1の差は10点、偏差値10の差は100点といったところでしょう。ですから偏差値20の差は200点ぐらいであろうと推測できます。つまり各教科40点ずつ得点アップしないといけません。これは相当に厳しいですね。一気に上げる方法は思いつきません。でも、偏差値5アップなら何とかなりそうです。そして、そこまでいけば、さらに5アップも視野に入ってきます。
平均点を取った人が偏差値50です。平均点は時々で変わりますが、だいたい5割から6割の得点となります。平均点に達しない人、つまり偏差値50に届かない人は、難しい問題や応用問題が解けないのではなく、基礎基本的問題で得点できないのです。まずは基礎基本からです。時間はかかると思いますが、高校入学後のことも考え、諦めずに頑張ってください。
■偏差値について詳しく知りたい場合には:よみうり進学メディア
・「偏差値ってなに?」志望校選びに生かす偏差値 その1
・「偏差値ってなに?」志望校選びに生かす偏差値 その2
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最近は「滑り止め」という言い方をせず、「併願校」と呼ぶことが多いようですが、実態としてはそのような意味合いも持ちますから、ご質問通り滑り止めの受け方ということでお答えします。
公立第一希望の人が、滑り止めの私立を受けるのはきわめて一般的な受け方です。試験日程は私立が先行することが多いので、公立受験に向けての予行演習(リハーサル)になります。また、ひとつでも合格を確保しておけば、本命の公立受験の際、多少なりとも精神的余裕を持って臨めます。
ですから、最低でも1校は受けるという考え方でいいと思います。
本命の高校との偏差値の差ということですが、特に私立は、学校により試験制度や内容が異なるので、単純に偏差値の差ではなく、総合的な難易度の差あるいは合格可能性の差ということで考えたほうがいいでしょう。
そのうえで、あえて偏差値の差というなら、5ポイント程度の差を見ておけばある程度安心できるのではないでしょうか。ただし、本命である公立の合格可能性がどれくらいなのかにも左右されるので一概には言えません。学校や塾の先生方に相談してください。
公立本命で私立滑り止めというなら1~2校でしょう。私立は試験日程さえ被らなければもっと受けられますが、その分受験料もかさみますし、日程が詰まって体力的にも精神的にもきつくなると思います。
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塾に行っていなかった人が、急に塾に行くようになっても成績が上がるかどうかは分かりません。今のスタイルが自分に合っていると思うなら、迷わずそのやり方を続ければいいと思います。
おすすめの問題集というなら、このWebサイトや新聞(よみうり進学メディア)でも繰り返し述べているように過去問題集です。最強の問題集であり、絶対にやっておくべき必須問題集です。5~6年分をやればいいでしょう。何も見ないで時間内に完璧にできるようになるためには3回ぐらい反復する必要があると思いますが、個人差はあります。出来なかったり、間違ったりした問題は、解説を読むだけでなく、教科書の該当部分をよく読んで、徹底的にやり直しをしましょう。教科書をよく読む、よく見るというのが非常に重要なポイントです。
本番の入試でここ数年の過去問とまったく同一の問題が出ることは、ほぼないでしょう。それでも過去問をやるのは、類似問題が出るからです。
自分の都道府県の過去問が完全に出来るようになったら、他の都道府県の過去問題集をやるのも良い方法です。各教育委員会のホームページに過去問が掲載されています。全国の過去問を掲載した問題集も出ています。
中途半端にいろいろなものに手を出すよりも、過去問題集と教科書に絞ることを勧めます。疑問点は中学校の先生に尋ね、曖昧さを残さないようにしましょう。
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個別相談で聞いてはいけない事柄などありません。遠慮なく何でも聞いてください。
私立高校の場合、ほとんどの方が気になるのは学費のことです。3年間でいくらかかるのか、差し当たりどの程度の資金を用意しておけばいいのか、国の支援や都道府県の補助はいくらぐらい貰えるのかなど、聞きたいことばかりです。ですから、学校側もそれらに関する資料をあらかじめ用意しています。学校側からすれば、必ずあるだろうと想定されている質問なのです。失礼でもなんでもありません。
むしろ心配なのはお子さんの方です。あまりお金に関する質問ばかりすると、「うちはお金に困ってるんじゃないか」とか「やっぱり私立は諦めた方がいいんじゃないか」などと思ってしまうかもしれません。だとしたら、ちょっと気の毒です。
お金のことは心配ない。だからお金の話はしない。そういう方もいるかもしれませんが、筆者はそうは思いません。家庭の経済状況に関わらず、お金のことはきちんとしておくべきなのではないでしょうか。
成績のことであれ、お金のことであれ、あるいは学校の方針であれ、疑問な点は分かるまで質すという態度を示すことは、お子さんに対するひとつの教育ではないかと思います。
最後にもうひとつ助言しますが、限られた時間での相談ですから、聞くべき内容はあらかじめ整理して臨んだほうがいいと思います。
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2年生から学校探しをしようという心がけ。まずこれが素晴らしいですね。3年生になってからでも間に合わないことはありませんが、実際のところ学校選びに費やすことができるのはせいぜい半年程度ですから、この間に見学できる学校には限りがあります。ですから2年生のうちから行動を始めるのは大変好ましいことです。
ネットによる情報収集はいつでも出来ますから、これはいったん置くとして、おすすめは進学フェアなどへの参加です。文化祭の見学や各校が実施する学校説明会などもいいと思います。ただ注意しなければならないのは、コロナの影響でこれらの参加者を受験生(中3生)に限定している点です。もし、そのような制限がないなら、積極的に行ってみましょう。
学校訪問は、ただ数を回ればいいというものではありません。ネットで下調べをしたり、先生や先輩の話を聞いたり、進学フェア(合同の説明会)に参加するなどして、ある程度候補を絞ったほうがいいでしょう。
その際、偏差値のことはあまり考えないほうがいいでしょう。調べれば各校の偏差値も分かりますし、模試を受けてみれば自分のその時点の偏差値も分かります。ただし、偏差値は変動します。その気になればいくらでも上げられます。最初から偏差値のことを考えると選択の範囲を狭めてしまうので、少なくとも最初から偏差値優先で考えるのは、良くありません。
(回答者:教育ジャーナリスト 梅野弘之)
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