これからの勉強を効率的に行っていくために、過去の入試問題の特徴をつかんでおきましょう。
今回は、前年度(令和4年度)の公立入試問題(共通選抜)をふり返りながら、傾向と対策を考えてみることにします。
【全体傾向】
平均点理科が上昇、その他はすべて低下
まず、各教科の大問数と小問数です。
国語 大問5小問30
数学 大問6小問24
英語 大問8小問27
社会 大問7小問32
理科 大問8小問28
数学と社会の小問数が1〜2問減った以外に変化はなく、大問数・小問数はほぼ例年通りでした。
次に合格者の平均点を見てみましょう。カッコ内は前々年(令和3年度)の平均点です。
国語61・3(65・7)
数学52・9(58・2)
英語52・1(54・6)
社会62・4(72・6)
理科58・9(50・1)
平均点が上がったのは理科のみです。それ以外の4教科は前年より下がりました。大きく下がったのは社会で、前年より約10点下がりました。ここ4年間を見ると、42・5点、58・2点、72・6点、62・4点となっており、他の教科と比べて変動が大きい教科と言えます。
【数 学】
問題文を正しく読み取る力も重要
問1は基本的な計算問題です。毎年決まったパターンの出題で正答率も概ね90%を超えています。
問2も連立方程式や二次方程式の解を求める問題など標準的な問題でした。(エ)は一次方程式で簡単に解ける問題でしたが、約40%の人が間違えました。文章で表された問題文を正しく読み取ることが出来なかったと考えられます。
問1が15点、問2が20点で合計35点の配点があります。全体のほぼ30%を占めますから、数学が苦手という人は、ここまでで着実に点数を積み重ねておきたいところです。高得点を狙う人は、後半の問題に余裕を持って取り組めるよう、短時間で解けることを目指しましょう。
高得点を取れるかどうかは問3から問6までの出来がカギとなります。
4年度の出題内容は次のとおりです。
大問3 平面図形など
大問4 関数
大問5 確率
大問6 空間図形
それぞれ2〜6題の小問で構成されています。
問3では、(エ)の三平方の定理や相似比などを用いて図形の面積を求める問題が難しく、正答率は僅か0・7%でした。円周角の定理を用いて角度を求める問題も正答率16・3%と振るいませんでした。
問4では、(ウ)の線分の比などを用いて図形の面積比を求める問題の出来が悪く、正答率は6・9%でした。
空間図形を扱った問6では、(ウ)の展開図を書いて線分の長さを求める問題の出来が悪く、正答率は2・7%でした。
問3から問6までの小問14題中8題は正答率が50%を下回っており、ここで点差がついたと考えられます。
数多くの問題を解くのはもちろんですが、いろいろなパターンの問題に取り組み、覚えた定理などを自在に使いこなせるようにしておかないと高得点が望めません。
3年生後半に習う内容は問題練習が不足しがちなので、意識して増やすようにしましょう。
【英 語】
長文多く、時間配分が難しい
問1はリスニングテストで配点は21点です。前半は対話文が中心で、難しい表現はあまり使われていません。正答率は60%〜70%の問題が多く、比較的よく対応できているようです。
放送時間は約10分かかります。したがって、残りの40分で問2以降の問題を解かなければなりません。長文を読んだり、作文を書いたりしなければならないので、時間配分が難しい教科です。
問2は対話文に適切な単語を補う問題で、比較的易しい問題です。
問3も適切な単語を補う問題で難しくはありません。
問4は対話の流れを理解して単語を正しく並べ替える問題(整序問題)です。不要な単語が一語混ざっていますが、基本的な文法知識等があれば迷うことはないでしょう。
ここまでの問題は、後半の問題に備えて、出来るだけ短時間で終わらせる必要があるでしょう。また、確実に得点していくことが重要です。
問5は英作文です。条件作文と呼ばれるもので、語数(6語以上)や書き出しの文章、必ず用いなければならない単語などが決められています。内容もさることながら、示された条件をはずさない英文を書くことが重要です。
英作文では、教科書に出てくる重要構文や慣用表現を覚えておくと役に立ちます。言えるだけでなく、書けるようにしておかないと点数にはつながりません。
問6から問8までの3問は長文読解問題です。問題文がかなり長いことに加え、グラフや資料なども読み取らなくてはなりません。問6〜問8までの小問8題中、正答率が50%を超えたのは3題しかありませんでした。
長文に慣れていないと最後の方は時間不足になる可能性があります。苦手な人は今すぐ対策を始めないと本番までに間に合いません。
【国 語】
情報を整理し記述する問題への対応が課題
問一は主に漢字の「読み」「書き」に関わる問題で配点は20点です。漢字の「読み」では、「煩雑(はんざつ)」(正答率45・1%)の出来があまりよくありませんでしたが、それ以外はよくできていました。同じ漢字が使われている熟語を選択する形で問われる「書き」は、いずれも50%前後の正答率でした。「読み」「書き」には日常あまり使う機会がない漢字も出題されています。論説文など長文読解の練習をする中で、やや難しい漢字・熟語にも注意を払うようにするといいでしょう。
問二は文学的文章(小説)の読解でした。設問では、主人公の「気持ち」やその変化などを問われることが多いので、主人公や登場人物の心の動きに注目しながら問題文を読むといいでしょう。高得点が狙える問題です。
問三は説明的文章の読解です。小問9題中4題は正答率が50%を下回っており、苦手としている受験生も多いようです。
問四の古文の読解は「十訓抄」からの出題でした。問題文の要所に現代語訳もついており、取り組みやすい問題でした。
問五はグラフと資料を読み取ったうえで答える問題でしたが、(イ)の論述問題の出来が良くありません。20字以上30字以内という文字数条件は前年より少なくなりましたが、正答率は13・4%でした。
文章読解力と共に情報処理能力が問われるのが近年の傾向のようです。
理科・社会は次月11月号で紹介します
(よみうり進学メディア編集部)
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