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2022.11.19

〈2023年度入試〉東京都 都立高「必見!! 都立入試問題その傾向と対策は?」-令和5年度

【全体傾向】
出題形式・内容など大きな変化なし

これからの受験勉強を効率的に進めて行くために、過去の入試問題の傾向を確実に把握しておく必要があります。
そこで今回は、令和4年度都立高校入試(第一次募集・分割前期)の共通問題を振り返りながら、今後の対策を考えてみることにしましょう。

まず各教科の平均点を見ておきます。(カッコ内は令和3年度)
国語 68・8(72・5)
数学 59・0(53・3)
英語 61・1(54・1)
社会 49・2(54・6)
理科 61・4(47・8)

英語と理科が上がり、国語・数学・社会は下がりました。理科の上昇が目立ちます。
国語は80点台(2年度)、70点台(3年度)、60点台(4年度)と下がっていますが、依然5教科の中では最高です。
数学はこの2年間は50点台で比較的安定しています。
英語は50点台が続きましたが60点台に乗りました。
社会は50点台が続きましたが40点台に下がりました。最も高い国語とは20点近い開きがあります。
理科は3年度から13・6点上がりました。

【国語】
筆者の主張を正確に読み取る力

平均点は3・7点下がりました。
大問1は漢字の「読み」、大問2は漢字の「書き」で、それぞれ5問ずつ。配点は計20点です。大問全体の正答率は93・8%なのでよく出来ていますが、「習慣」「健やか」の書きは正答率が60%以下でした。
大問3は文学的文章の読解です。
設問を見ると、「このときの雪乃の気持ちに最も近いのは」、「この表現から読み取れる茂三の様子として最も適切なのは」のように、登場人物の心の変化や、それによる態度や行動の変化に着目したものが中心となっています。設問のパターンは毎年ほぼ同じですから、これらに注意しながら問題文を読む練習をしておきましょう。
大問4は説明的文章の読解です。
「思考を科学する」という、人工知能などを研究する科学者の文章が使われました。大問3の全体正答率が85・5%であるのに対し大問4は49・0%でした。内容や筆者の主張を正確に読み取る問題、段落の役割を捉える問題などで構成されています。難解な語句も含まれる文章ですが、それらに惑わされず、段落ごとに筆者の意見の大意を読み取るようにしましょう。
大問4の問5では、200字以内の作文が課せられています。配点は10点と高めになっていますが、部分正答も含む正答率は71・4%なので、点数は取りやすいと言えるでしょう。「具体的な体験や見聞も含めて」といった条件つきなので、そこをはずさないことがポイントです。

【数学】
関数や図形が弱点。早めの対策を

平均点は5・7点上がり、ほぼ一昨年(2年度)並みとなりました。
大問1は9問で構成されており、配点は計46点と全体の半分近くを占めています。
問6までは計算問題です。

問1 数の計算
問2 式の計算
問3 平方根を含む計算
問4 一次方程式
問5 連立方程式
問6 二次方程式

このパターンは毎年同じです。問8(図形)、問9(作図)いずれも基礎的な問題でしたが正答率は50%以下でした。
大問2は整数を題材とし、数理的に考察し推論の過程を的確に表現する 問題でした。(2)は部分正答を含む正答率が40・5%でしたが、無答率も46・3%でした。何とか対応できた人と、まったく手が付けられなかった人にはっきり二分された形です。数多くの問題に触れ、このような出題形式に慣れておく必要があります。
大問3から大問5は次のような問題構成となっています。
大問3 関数
大問4 平面図形
大問5 空間図形
このうち大問4と大問5は難問でした。特に大問4の問2②は正答率2・3%、大問5の問2は正答率1・2%と極端に低くなっています。
前半は得点しやすいため70点台までは比較的容易に到達できます。しかし、80点台から90点台の高得点を目指すには、大問3以降の攻略が不可欠です。空間図形の問題の無答率が高いのは、時間配分の失敗もあるかもしれませんが、理解不足や練習不足がより大きな原因でしょう。早めに取り組んでください。

【英語】
長文読解は問題練習の機会を増やす

平均点は7点上がりました。80点以上の人が25・6%いました。
大問1はリスニング問題で、配点は20点です。難しい表現や単語などは少なく、全体としてはよく出来ていました。ただし、聞き取りが不十分だったためと思われる誤答が目立つのでCDなどを使って発音やスピードに慣れる練習をしておく必要があるでしょう。
大問2はやや短めの英文や会話文による総合問題で、例年ウェブサイト・Eメールなどが資料として用いられます。配点が12点と高い英作文は、部分正答も含めた正答率が44・7%でした。点差がつきやすい問題のひとつでした。語数については特に条件がないので、最初から長い文章を書こうとせず、自分の考えを短めの文章で表現することから始めるといいでしょう。スペルミスにも要注意です。
大問3、大問4はともに長文読解問題で、大問3が対話文、大問4が物語文です。
学校での授業のように、一字一句丁寧に訳していると時間が足りなくなる可能性があります。
対話文においては、対話の流れや登場人物の考えをしっかりと把握しましょう。物語文においては、あらすじや登場人物の心情の変化を捉えましょう。これらは国語の長文問題と同様です。
長文読解は問題演習が不足しがちなので、休日などを使い、解く量を増やしましょう。

【社会】
多面的・多角的に考える力が問われる

平均点は5・4点下がり、5教科中唯一40点台となりました。
小問数は20題で、このうち2題が記述式解答、他は記号選択式です。配点はすべて5点です。
問題の構成は次のとおりです。

大問1 三分野総合
大問2 地理(世界)
大問3 地理(日本)
大問4 歴史
大問5 公民
大問6 三分野総合

大問1は三分野の基本的知識を問う問題で、よく出来ていました。
大問2は海洋を題材としながら都市の様子や気候、日本との関わりなどを問う問題でしたが、3題中2題は正答率30%以下でした。世界地図を見慣れておくことや、資料の読み取りに慣れておくことが必要です。
大問3の問2の正答率はわずか11・7%でした。資料(グラフ)の読み取りに課題がありそうです。
大問4は各時代の財政政策を年代の古い順に並べる問題でしたが、正答率は26・1%でした。年代の並べ替えは毎年受験生が苦戦している問題です。用語や人名等の暗記に頼った勉強では対応できません。各々の歴史的事象について、原因や結果などを理解するようにしましょう。
大問5の公民分野は、他の分野よりはよく出来ていましたが、4題中2題は正答率が50%以下でした。
覚える事柄が多い教科ですが、近年は資料などを元にものごとを多面的・多角的に見る力を試す問題が増えています。

【理科】
基礎・基本的知識の定着を図る

平均点は国語に次いで高く、80点以上の人が27・7%いました。
配点はすべて4点です。小問25題中2題が記述で、それ以外は記号選択式問題でした。
大問1は各分野からの小問で構成され、基礎的・基本的な知識・技能を問う問題です。正答率が50%を下回る問題もありました。大問2も各分野にまたがる基礎的・基本的問題でしたが、思考力や判断力も求められる問題でした。ここでも正答率が50%を下回る問題がありました。前半の問題では確実に点数を取っておく必要があります。いま一度教科書を見直し、基礎・基本的知識の定着を図りましょう。
大問3以降は次のような構成になっています。

大問3 地学(16点)
大問4 生物(16点)
大問5 化学(16点)
大問6 物理(16点)

どの単元が出題されるかにより出来が左右されます。4年度は大地の成り立ちと変化について問われた地学分野と、酸・アルカリの特性や中和反応について問われた化学分野の出来があまり良くありませんでした。
大問5「化学」の問3は化学反応式を完成させる記述問題でした。正答率は全問中2番目に低い39・6%でした。
大問6「物理」は前年度に出題範囲から除外された「力学的エネルギー」に関する問題でしたが、比較的良く出来ていました。

(よみうり進学メディア編集部)

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