よみうり進学メディア

入試情報
2023.4.19

受験生の疑問に答えるQ&A「昨年度、受験生によく読まれた質問は?」-2023年度版まとめ

よみうり進学メディアの人気連載記事「受験生の疑問に答えるQ&A」。
受験生からの質問に専門の先生が回答します。
今回は1学年上の先輩たち(この4月に高校1年生になった学年/2023年度受験生)
よく読まれた記事をピックアップします。
(回答者:教育ジャーナリスト 梅野弘之)

Q1 高校受験、なにからはじめる?

いよいよ高校入試の学年です。でも、なにからはじめれば全くわかりません。最低限いつまでに何をすればよいのかなどアドバイスお願いいたします。(年間のスケジュールなど?)<2022年3・4月号掲載>

A
1年間を見通して計画を立てようという心がけはいいですね。成功パターンのひとつです。
ただ、置かれた状況は人それぞれですから、これが唯一とか、これがベストというものはありません。一般論という形でお話しますので、あとは自分自身でアレンジしてください。

◆受験生の二大テーマ
受験生が本番までにしなければならない二大テーマは、「学校選び」と合格を手にするための「学力向上」です。
このふたつは、どちらが先、どちらが後というものではなく、常に同時並行で進めていかなければなりません。ある段階で志望校が変われば、求められる学力も変わってきます。逆に、学力が上がれば、別の志望校が浮上してくるかもしれません。ですから両者を切り離すことはできないのです。

◆学校選びは夏以降に本格化
学校選びに欠かせないのが、進学フェアへの参加や、各校が実施する学校説明会・個別相談・体験入学などへの参加です。
これらのイベントがスタートするのは通常5月、6月からですが、本格化するのは夏休み以降となります。夏休みには多くの学校で体験入学なども行われます。
ですから、皆さんが積極的に学校説明会などに参加するのは、夏休みからでも遅くないと思います。もちろん、それ以前にちょうど良い機会があれば参加してみてください。

◆勉強は今すぐ
学校選びの方は3年生になってすぐである必要はありませんが、勉強の方は今すぐです。つまり3年生になる前からです。
この時期にやって欲しいことを3点挙げておきます。
(1)テストの振り返り(やり直し)
(2)今年の入試問題のチェック
(3)3年教科書の予習

2年生各学期の中間・期末考査で出来なかった問題をやり直しておきましょう。
1・2年の復習はいずれかの時期に必ずやらなければならないことです。3年生になれば、新しい内容や難しい内容が加わってきますから、そちらに時間をかけなければなりません。ですから今のうちです。
今年の入試問題のチェックについては、本紙やこのサイトの別なページで書いていますので、そちらをご覧ください。

3年教科書の予習というと難しそうですが、パラパラとページをめくる程度でいいです。それだけで気分が盛り上がり、やる気がみなぎってくるかもしれません。

◆授業イコール受験勉強
入試の問題は、2種類の問題で構成されています。基礎基本的問題と応用的問題です。
基礎基本的な問題を解くのに必要な知識や技術は学校の授業の中で身につけられます。それに対し応用的問題は、学校の授業だけでは必ずしも十分とは言えないので、各自の学習(家庭学習など)で補います。
授業への取り組み方を見直すことと、家庭での学習時間を延ばすことがさしあたりの課題となります。


■2023年度の入試問題チェックはこちらから:
・東京都都立高校:東京都 都立高入試(一般)『数学』-「家庭教師のトライ」解き方のポイント解説&数学の勉強法-2023年度高校入試
・埼玉県公立高校:埼玉県 公立高入試(学力検査問題・学校選択問題)『数学』-「進学塾サイン・ワン」解答・解説-2023年度高校入試
・神奈川県公立高校:神奈川県 公立高入試(共通選抜)『数学・理科』-「臨海セミナー」ポイント解説&入試攻略のコツ-2023年度高校入試

※このサイトのトップから「勉強」カテゴリーを選ぶと、私立高校の試験問題、前々年度の公立高校問題など、他校の問題も確認できます


Q2 高校受験で落ちてしまったらどうなりますか

高校入試、不安で仕方ないです。落ちたらどうしよう、試験問題絶対難しい、など色々考えてしまいます。高校受験で落ちてしまったらどうなりますか…?<2022年5月号掲載>

A
◆少しだけ不安があったほうが、かえって良い結果につながる
ものごとを深く真剣に考えるほど不安の種は尽きません。
一方、あまり深く考えなければ、それほど不安にもなりません。
受かるか落ちるかのどちらかしかない入試に挑む以上、100%不安から解放されるのは難しそうです。
それと、極度な不安は困りますが、安心は油断を招き、それが失敗につながることもあります。
ですから、少しくらい不安があったほうが、かえって良い結果につながると思います。

「落ちたらどうしよう」というのは、考えておくべきかもしれませんが、そういう後ろ向きな考え方をする前に、「受かるためにどうしよう」と考えてください。
まずそちらを考え、その上で「でも、万が一落ちたらどうしよう」と考えるのが順序です。
「落ちたらどうしよう」だけでは、実力向上は望めませんが、「受かるためにどうしよう」と考え、それを実行に移せば実力の向上につながります。

「試験問題絶対難しい」という件ですが、基礎基本問題がほとんどで、これに若干の応用問題が加わるというのが入試問題の構成です。
応用問題はたしかに難しいので、これを克服するには、早い段階から本格的受験勉強を始める必要があるでしょう。

◆落ちてどこも行く先がないという事態にはなりません
最後に、「高校受験で落ちてしまったらどうなりますか」という点ですが、落ちてどこも行く先がないという事態にはなりませんから、第二志望であれ、滑り止めであれ、皆さん入れた学校で頑張っています。
人の一生は長いのでチャンスは何度でもめぐってきます。

Q3 私立高校入試「単願/併願」「推薦/一般」

私立高校入試の単願と併願、推薦と一般の違いってなんですか?<2022年5月号掲載>

A
入試の制度・仕組み・内容は、都道府県ごとに異なります。さらに、私立であれば学校ごとに異なります。
全部統一してくれれば受験生としては分かりやすいのですが、学校にはそれぞれ教育目標や教育方針があり、それに基づいて制度や仕組み、内容などが決まってくるので、違いがあるのはやむを得ません。

◆推薦と一般
推薦と一般は、主に試験内容の違いです。
一般は学力検査のみ、あるいは学力検査中心に合否が判定される試験です。
それに対し、推薦はそれ以外の要素、たとえば調査書の内容や面接・実技などを中心に合否が判定される試験です。
ただし近年は、推薦でも学力検査が課されたり、一般でも調査書が加味されたりなど、その境界線が昔ほど明確ではなくなりました。
ですから、その分、受験生にとって分かりにくくなっていると思います。

◆単願と併願
単願と併願ですが、主として推薦試験で用いられる用語です。
単願はその学校のみ(1校だけ)受験する人を対象とした入試制度であり、その場合、合格すればその学校に必ず入学することが前提となります。
併願は他の学校も(複数)受験する人を対象とした入試制度であり、受験生は合格した学校の中から入学校を選びます。
一般的には単願の方が受かりやすく、併願の方が受かりにくいとされています。

ですから、行きたい学校がはっきりしている場合、その学校に推薦試験があり、かつ単願制度があれば、まずはそれを目標にするのがいいでしょう。

ただし、前述したように、推薦であれ一般であれ、また単願であれ併願であれ、学力検査は避けて通れないと考えたほうがよく、そのための早めの準備が望まれます。


■実際の私立高校入試要項を見てみましょう。
「単願/併願」「推薦/一般」で日程や試験内容、募集人員が異なることが分かります。
※こちらは昨年度(2023年度)のものです、本年度用(2024年度)の発表はこれからになります。

・東京都 私立高校:〈2023年度入試〉東京都 「私立高入試要項一覧」発表-令和5年度 – よみうり進学メディア
・埼玉県 私立高校:〈2023年度入試〉埼玉県 私立高「入試要項一覧」発表-令和5年度 – よみうり進学メディア
・千葉県 私立高校:〈2023年度入試〉千葉県 私立高校「募集人数・募集要項」発表-令和5年度 – よみうり進学メディア
・神奈川県 公・私立高校 ※神奈川県は公私立が一緒に発表されています
〇〈2023年度入試〉神奈川県「私立高校生徒募集・生徒納付金概要について」発表-令和5年度
〇令和5年度 私立高等学校生徒募集要項 ※学校別リスト


Q4 高校の授業について

高校の授業について教えてください。中学校と何が違うのでしょうか。<2022年6月号掲載>

A
いい所に目を付けました。大変良い質問だと思います。
高校の授業と中学校の授業の違いについて説明するためには、まず教科や科目の違いについて触れておかなければなりません。
ふだん皆さんは、何気なく教科とか科目という言葉を使っていて、この2つを厳密には区別していないと思います。ですから「得意教科は英語です」と「得意科目は英語です」は同じ意味となります。
しかし、高校では、教科と科目ははっきりと区別されています。
教科として国語や数学などがあるのは中学校と同じですが、たとえば国語という教科で言えば、その中に「現代の国語」「言語文化」「国語表現」といった科目があります。つまり、大きな分類として国語という教科はありますが、国語という科目はなく、国語という授業もありません。

もうひとつ例を挙げれば、教科として理科という分類はありますが、理科という科目や授業はありません。理科は「物理」「化学」「生物」「地学」などの科目に分かれていて、それぞれ別の教科書を使い、別の先生が教えます。

こうしたことから想像できるのは、勉強する内容がかなり専門的になり、難しくなってくるだろうということです。
いま現在、皆さんが中学校で学んでいる内容は、高校での勉強の基礎づくりです。
目先の高校入試だけでなく、その先にある高校での勉強のことも考えて、好き嫌いなく、どの教科もしっかり学んでもらいたいと思います。


■高校では専門性が高い学習に取り組むことになります。
高校の時間割は「普通科」「普通科〇〇コース」「専門学科」「総合学科」など、学科によって異なります。
「学科とコースの違い」について、志望校選択の前に知っておきましょう:

・「学科やコースってなに?」志望校選びを開始しよう その1 – よみうり進学メディア
・「学科やコースってなに?」志望校選びを開始しよう その2 – よみうり進学メディア


Q5 偏差値を20上げるにはどのように勉強すれば良いでしょうか

第一志望の高校と、自分の偏差値に20くらい差があります。今からではもう間に合わないでしょうか。また偏差値を20上げるにはどのように勉強すれば良いでしょうか。逆転合格のエピソードがあれば教えてください。<2022年7・8月号掲載>

A
大逆転のエピソードをお望みのようですが、筆者は直接に受験勉強を教える立場ではありませんので、そのような事例をご紹介することはできません。ただし、あるとは思います。中学校や塾の先生に尋ねてみてください。ネットで探せば、そのような話もみつかるかもしれませんが、信ぴょう性に欠けます(本当かどうかよく分かりません)。

偏差値は、絶対的なものではなく、受けるテストごとに数字の出方は異なります。その前提で話しますが、仮に5教科500点満点のテストだとしたら、偏差値1の差は10点、偏差値10の差は100点といったところでしょう。ですから偏差値20の差は200点ぐらいであろうと推測できます。つまり各教科40点ずつ得点アップしないといけません。これは相当に厳しいですね。一気に上げる方法は思いつきません。でも、偏差値5アップなら何とかなりそうです。そして、そこまでいけば、さらに5アップも視野に入ってきます。

平均点を取った人が偏差値50です。平均点は時々で変わりますが、だいたい5割から6割の得点となります。平均点に達しない人、つまり偏差値50に届かない人は、難しい問題や応用問題が解けないのではなく、基礎基本的問題で得点できないのです。まずは基礎基本からです。時間はかかると思いますが、高校入学後のことも考え、諦めずに頑張ってください。


■偏差値について詳しく知りたい場合には:よみうり進学メディア
・「偏差値ってなに?」志望校選びに生かす偏差値 その1
・「偏差値ってなに?」志望校選びに生かす偏差値 その2


Q6 高校に行く意味ってなんでしょうか

いまさらですが、高校で何を学びたいのかわからないので、志望校が決められません。どうしたら良いでしょうか。高校に行く意味ってなんでしょうか。<2022年7・8月号掲載>

高校は小中学校と違って義務教育ではありませんから、行くも行かないもあなたの自由です。行く意味がないと思っているなら、中卒で就職するのもひとつの選択です。ただ、50年前の日本と違って、中卒を好んで採用する会社は稀です。大学生でも就活(就職活動)で苦しんでいる時代なので、仕事探しは困難を極めるでしょう。

世の中には高校や大学を出ないと就けない仕事があります。皆さんにとってもっとも身近な先生という職業も、基本的には大学や大学院を出ないとなれません。最低でも高卒の資格を必要とする職業が世の中では多いのです。ですから、職業選択の可能性を広げるという意味では、高校には行ったほうが圧倒的に有利と言えます。

高校では、ひとつひとつの科目を中学校より深く学びます。その分難しくなるとも言えますが、面白さも増してきます。これも高校に行く意味のひとつです。

高校には全日制、定時制、通信制などがあります。また、普通科や専門学科という区別もあります。なりたい職業が決まっている人であれば専門高校や専門学科に進むことが考えられます。

そこまではっきりしていないなら普通科という選択になるでしょう。5教科や9教科を幅広く学ぶという点では中学校と基本的に変わらないからです。その中から何を本格的に学ぶかは高校に入ってから決めても遅くはありません。


■関連として、志望校を決めるためのステップをまとめたページもあります:
「志望校はどうやって決める?」志望校決定へのステップ-まとめ


(全ての回答は:教育ジャーナリスト 梅野弘之)

「受験生の疑問に答えるQ&A」では
受験生と保護者のみなさんの疑問を募集しています

受験に関するあなたの質問や不安をお寄せください!お名前なしで記入できます!
受験生の疑問に答えるQ&A/記入フォーム

 

☆よみうり進学メディアではTwitterで記事掲載をお知らせしています☆
Twitter.com@yag_ysmedia
Twitterのフォローをすると、随時記事情報が受け取れます。受験情報をお見逃しなく!
■よみうり進学メディアTwitterはこちらをクリック

関連記事