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埼玉 入試情報
2024.1.16

〈2024年度入試〉埼玉県 公立高校「2023年度の入試問題」通過率・正答率データから見たこれからの勉強法

埼玉県公立校「2023年度(令和5年度)の入試問題」
通過率・正答率データから見たこれからの勉強法

受験生の皆さん、過去問練習は進んでいますか。過去問演練習はもっとも強力な受験対策です。最後までしっかり取り組みましょう。

さて今回は、主に公立高校を受験する皆さんに向けて「小問ごと通過率・正答率データ」を活用した勉強法についてお伝えします。

すでにご存知かと思いますが、埼玉県立総合教育センターのサイトには公立入試に関するさまざまなデータが掲載されています。そのうちのひとつが、過去3年分の問題分析です。ここには小問ごとの正答率・一部正答率、誤答率・通過率が示されています。

正答率や一部正答率が高ければ「点が取りやすかった問題」ないしは「易しかった問題」とみなすことができ、反対に誤答率や無答率が高ければ「点が取りにくかった問題」ないしは「難しかった問題」とみなすことができます。

過去問練習をする中で、間違ったり解けなかったりした問題もあったでしょう。その際、その問題の正答率がどのくらいであったかを見ておくのも大事なことです。
正答率が高く、ほとんどの受験生が点数を取れた問題を間違ったとすれば、すぐにその部分の知識を補強しておく必要があります。逆に、ほとんどの受験生が正解できなかった問題だったとすれば、解けなかったとしても、あまり落ち込む必要はありません。
このように小問ごとのデータは、今後の受験勉強の指針ともなるので、ぜひ確認しておきましょう。

なお、データの中に「通過率」という聞き慣れない用語が出てきますが、これは部分点を取れた人の数や、その点数を加味したデータのことです。ここではあまり細かいことは考えず、通過率が高ければ「点が取りやすかった問題」、通過率が低ければ「点が取りにくかった問題」と考えることにしましょう。

■埼玉県の過去3年分の入試問題(学力検査問題・学校設定問題)はこちらで確認できます/埼玉県立総合教育センター
令和5年度入学者選抜学力検査結果(令和5年2月実施) – 埼玉県立総合教育センターホームページ (spec.ed.jp)

【国語】 小説読解のポイントは心情理解

60点台の平均点が続きましたが、令和5年度は前年より5.8点下がり57.1点でした。

配点の半分以上(52点)を占める長文読解(大問1と大問3)の得点力がカギを握ります。

大問1(小説)よりも大問3(論説文)の通過率が低いのがこれまでの傾向でしたが、5年度はほとんど変わらないか、むしろ大問3(小説)の方が低いくらいでした。小説の読解は登場人物の心情理解がポイントです。その点を意識した読み方が求められます。
長文読解問題は知識を問われているわけではないので、何かを覚えることでは得点力が伸びません。ある程度まとまった時間を取って練習量を増やし、読み方や答え方(特に記述)のコツをつかむようにしましょう。

大問3(古文)では、小問4題中3題が通過率20~30%台でした。出ることが分かっている歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す問題も通過率は38.3%にとどまっています。
古文の出来が低調だったことで国語全体の平均点が下がったとも言えます。現代語訳や語注をヒントに内容を正確に理解する練習が必要です。

大問5(作文)は正答率こそ16.7%ですが、一部正答率は77.6%となっており、ほとんどの人が多かれ少なかれ点数は取れています。重要なのは上手い文章を書くことではなく、与えられた条件を完全に満たした文章を書くことです。過去問等を利用し、時間も意識した事前練習をしておきましょう。

【数学】 論理的に考える力が問われている


令和5年度の学力検査問題平均点(全日制)は55.8点で、前年の48.0点から7.8点上がりました。学校選択問題は前年より7.9点上がり50.5点でした。前年は共に40点台でしたが、50点台に回復しました。

【学力検査問題】
大問1は計算問題など基礎基本的な小問16題で構成され、配点は合計65点です。ここで全問正解すればそれだけで平均点を上回ることができます。ただ、非常に幅広い単元からの出題となるので弱点単元をひとつずつ克服していく努力が必要です。
大問2・3・4の各問題はいずれも極端に通過率が低くなっています。作図問題、合同・相似の証明問題の出題頻度が高いのでしっかりと準備しておきましょう。部分点が認められる問題が多いので、あきらめず、分かっていることだけでも書くようにしましょう。

【学校選択問題】
大問1は計算を含む独立小問で配点は44点と全体の半分近くを占めます。高得点を目指すには、ここでの失点を最小限にとどめなければなりません。また、後半の問題に余裕を持って臨むため、できるだけ短時間で済ませることも重要です。
大問2以降は、どの問題も(1)から(2)(3)と進むに連れて難しくなります。(1)を確実に得点し、(2)や(3)では部分点を積み増していきましょう。
関数であれ図形であれ、試されているのは論理的な考察ができるかどうかです。問題を多く解き、解法のコツを身につけましょう。

【社会】 歴史分野で得点を伸ばせない人が多い

令和5年度平均点(全日制)は64.1点で、前年の52.9点から11.2点上がりました。

大問1・2の地理分野には通過率50%を下回る問題はありませんでした。それに対し大問3・4の歴史分野では10題中5題が通過率50%以下でした。歴史分野を不得意とする人が多いことがうかがえます。歴史分野は他の分野と比較して覚えるべき語句や人名が多いことが影響しているようです。

通過率がもっとも低かったのは大問4の問4で31.8%でした。年代の並べ替え問題です。大問6の問1も年代並べ替えでしたが、こちらも38.6%と通過率は低くなっています。年代並べ替え問題は、年号を覚えているかどうかを試すものではなく、それぞれの歴史的事項の関連を正しく理解しているかどうかを問うものです。「原因」「経過」「結果」「影響」をしっかり理解しておきましょう。

社会科は暗記科目と言われますが、思考力や判断力が求められる問題が増えています。これらの問題では、答えを導くために複数の文書・グラフ・図表・地図・写真などを読み取らなくてはなりません。
知識の詰め込みに走りがちですが、実際の過去問を見れば、それだけでは対応できないことが分かるでしょう。

【理科】 計算問題、説明問題(記述)に課題

令和5年度平均点(全日制)は58.2点で、前年の52.5点から5.7点上がりました。

大問1は各分野からの独立小問8題で構成されています。配点は1題3点で計24点です。基礎基本的な知識や技能(計算や作図など)が問われます。5年度は8題中7題が通過率70%以上でした。確実に点数を取りたいところです。
大問2は地学分野です。5年度は「気象と天気の変化」からの出題でした。通過率90%以上が2題あるなど比較的取り組みやすい問題でした。
大問3は生物分野です。5年度は「生物世界・生命・自然のつながり」からの出題で、エンドウの花のつくりや形質の遺伝について問われました。
大問4は化学分野です。5年度は「化学変化と原子・分子」からの出題でで、酸化銅の還元やその量的な関係について問われました。計算により質量を求める問題の通過率12.3%で全問中最低でした。
大問5は物理分野です。5年度は「身近な物理現象」からの出題で、鏡や凸レンズなどの特性について問われました。5題中2題は通過率10~20%台であり受験生が苦戦した様子がうかがえます。問4の記述問題は無答も多くありました。
各分野に苦手単元があると高得点が望めません。ひとつひとつ克服しましょう。各分野とも理由などを文章で説明する問題や、計算により答える問題の対策が必要です。

【英語】 知識の曖昧さで点数に結び付かない人も

令和5年度学力検査問題の平均点(全日制)は45.8点で、前年の52.6点から6.8点上がりました。学校選択問題は前年の58.3点からやや上がり、56.7点でした。
英語では冒頭の10数分がリスニング問題にあてられるため、残りは40分弱しかありません。他の教科も同様ですが、特に英語は時間をどう割り振るかが高得点を取るためのカギとなります。
【学力検査問題】
大問1はリスニングで配点が28点です。11題中5題は通過率50%を下回っていました。
大問2は基本的な語い力(単語力)を試す問題が中心ですが通過率の低い問題もありました。
全体を通して言えるのは、単語のスペルや基本的文法事項に関する知識の曖昧さです。そのため点数が「取りきれない」人が多いようです。本番に向け、もう一度勉強方法を見直しましょう。
【学校選択問題】
大問1のリスニングで英問英答問題の出来が極端に悪くなっています。問題文をヒントにするなど聞き方の練習をすることで一定の効果が得られるでしょう。
大問2、大問3は問題文の量が多いので、要点をつかみつつ速く読む力が求められます。
大問3問6は、適語を入れ問題文を要約した英文を完成させる問題でしたが、通過率がきわめて低く、無答率も非常に高くなっています。時間配分を誤った人もいると思われますが、この形式は毎年出されているので十分な対策が必要です。

編集部追記

上記記事のさらに前、一昨年度(2022年度)の学力検査に関しても、同様の分析記事があります。参考に見てみてください。
・〈2023年度入試〉埼玉県公立校「2022年度の入試問題を解剖!③-前編」通過率・正答率データを活用した勉強法【国語・数学】
〈2023年度入試〉埼玉県公立校「2022年度の入試問題を解剖!③-後編」通過率・正答率データを活用した勉強法【社会・理科・英語】

(よみうり進学メディア編集部)

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