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2024.11.28

〈2025年度入試〉東京都 都立高「都立入試問題 その傾向と対策は?」-令和7年度

これからの受験勉強を効率的に進めていくためには、過去の入試問題の傾向を把握しておく必要があります。そこで今回は、令和6年度都立高校入試(第一次募集・分割前期)共通問題を振り返りながら、今後の対策を考えてみることにしましょう。

全体傾向
60点台3教科、平均点は上昇傾向

まず各教科の平均点を見ておきます。(カッコ内は令和5年度)
国語 75・9(80・8)
数学 61・7(57・6)
英語 66・9(62・8)
社会 55・5(55・6)
理科 66・8(59・4)

・数学・英語・社会が上がり国語が下がりました。
・国語は約5点下がりましたが70点台を維持しており、引き続き5教科中最高です。
・数学は50点台が続きましたが60点台に上がりました。
・英語は約4点上がりました。
・社会は前年とほぼ同じで5教科中唯一50点台でした。
・理科は7・4点上がり、上昇幅としては5教科中最高でした。

令和3年度・4年度は40点台の教科がありましたが、5年度は40点台がなく50点台が3教科となりました。6年度は60点台が3教科となっており、全体としてはここ数年上昇傾向にあることが分かります。

 

【国語】
説明的文章の読解は筆者の主張を正しく読み取る

前年ほどではありませんが85~90点以上の高得点者も多く出ています。

大問1は漢字の「読み」、大問2は漢字の「書き」に関する問題で、それぞれ5問ずつ。配点は計20点です。「据えて」の読みの正答率が50%以下だったことを除けばおおむね90%以上の正答率となっています。

大問3は文学的文章の読解です。
設問を見ると「この表現から読み取れる亜紗の様子として最も適切なのは」「このときの亜紗の気持ちに最も近いのは」といった形で、登場人物の心の変化や、それによる態度や行動の変化に着目したものが中心となっています。設問のパターンは毎年ほぼ同じですから、これらに注意しながら問題文を読む練習をしておきましょう。

大問4は説明的文章の読解です。
「進化的人間考」という人類学者の文章が使われました。進化について述べた自然科学系の文章なのでやや苦戦した人もいたでしょう。
正答率は大問3の文学的文章より全体的に低くなっています。筆者の主張を正しく読み取る力が求められています。

 

【数学】
推論とその過程を的確に説明できる力が求められる

平均点は前年度より4・1点上がりました。
大問1は8問で構成されており、配点は計46点と全体の半分近くを占めています。
大問1は問6までが計算問題です。

問1 数の計算
問2 式の計算
問3 平方根を含む計算
問4 一次方程式
問5 連立方程式
問6 二次方程式

このパターンは毎年同じです。問9(作図問題)の出来があまり良くありませんでした。

大問2は図形を題材とし、数理的に考察し推論の過程を的確に表現する 問題でした。
問2の証明問題は部分正答を含む正答率が非常に低く23・9%でした。無答率も54・9%で、まったく手が付けられなかった人が半数以上に達していました。
分かったことを正確に分かりやすく説明(表現)する力を求められているので、数多くの問題に触れ、練習しておきましょう。

大問3から大問5は次のような問題構成となっています。
大問3 関数(二次関数)
大問4 平面図形(長方形)
大問5 空間図形(三角柱)
このうち大問3の問3は正答率8・9%、大問4の問2②は正答率6・1%と、かなりの難問でした。

大問1は全体の正答率が73・8%と比較的平易なので確実に点を取らなければなりません。
大問2以降はやや難しくなりますが、それでも各大問の問1などは点が取りやすくなっているので、ここでさらに点数を積み上げたいところです。

後半の問題の出来の悪さは時間不足も原因の一つでしょう。パターンが決まった問題を短時間で終わらせ、時間的な余裕を作れるよう努力しましょう。

 

【英語】
長文読解は対話や物語の流れを正確につかむ

平均点は前年より4・1点上がりました。80点以上の人が36%いました。
大問1はリスニング問題で配点は20点です。
難しい表現や単語などは少なく、5問中2問は正答率が90%を超えていました。ただし、英語で答える問題(記述問題)は正答率28・2%と極端に低くなっています。聞き取る力だけではなく表現する力も求められています。

大問2はやや短めの英文や会話文による総合問題です。
配点が12点と高いのが条件英作文(記述問題)ですが、部分正答も含めた正答率が48・3%でした。三つの英文を書く問題ですが語数についての指定は特にありません。書くべきテーマ(主題)を正しくつかめなかった人もいるようです。作文力だけでなく読解力も求められます。

大問3、大問4はともに長文読解問題で、大問3が対話文、大問4が物語文です。
読む分量が多いので一字一句細かく日本語訳して行く時間はありません。また、その必要はありません。

対話文においては、対話の流れを正確に理解することがもっとも重要です。物語文においては、あらすじを読み取ると同時に、登場人物の心情変化を把握することも重要です。これらの注意点は、国語の長文問題にも共通します。

長文読解に強くなるためには練習量が必要です。スピードと正確さを意識しながらたくさんの問題に触れましょう。また、時間配分も考えておきましょう。

 

【社会】
統計等の資料を活用し多角的に考察する

平均点は0・1点下がりました。前年同様5教科最低で、唯一60点を下回りました。
小問数は20問で、このうち記述問題は前年より1問増え3問でした。配点はすべて5点です。

問題の構成は次のとおりです。
大問1 三分野総合
大問2 地理(世界)
大問3 地理(日本)
大問4 歴史
大問5 公民
大問6 三分野総合

 

大問1は基本的知識を問う平易な問題と言えますが正答率はかなり低くなっています。
大問2は農業を題材とし自然環境と農業の様子、世界の農業の日本との関りなどを問う問題でした。地図や統計資料を正確に読み取り、考察する力が求められます。

大問3の問3は「富山市都市マスタープラン」を資料とする記述問題でした。「公共交通」という語がキーワードだと気づけば容易に説明できる問題で正答率(部分正答含む)は73・3%でした。

大問4の歴史分野は、海上交通を題材とする問題でしたが、正答率50%を超えた問題はありませんでした。日本の歴史の大きな流れと世界の歴史との関係を理解しておく必要があります。

大問5の問2は比較的身近と思われる消費税に関わる問題でしたが正答率29・0%と芳(かんば)しくありませんでした。

大問6は国際会議などに関する問題でした。

大問5や大問6にはニュースなどで登場する語がいくつも出ていました。日頃から日本や世界の動きにも関心を持つようにしましょう。

 

【理科】
探究を通して思考力・判断力などをみる問題

平均点は前年より7・4点上がりました。
小問は25問あり、配点はすべて4点です。このうち2問が記述で、それ以外は記号選択式問題でした。

大問1は各分野からの小問で構成され、基礎的・基本的な知識・技能を問う問題です。
大問2も複数の領域にまたがる基礎的・基本的問題ですが、科学的な思考力や判断力も求められます。

ここまでの10問で確実に点数を取っておく必要があるでしょう。教科書をしっかり読み込み、用語など基礎・基本的な知識の復習をしておきましょう。

 

大問3以降の問題構成は次のようになっています。
大問3 地学(16点)
大問4 生物(12点)
大問5 化学(16点)
大問6 物理(16点)

各分野の中でどの単元が出題されるかによって出来が左右されるようです。6年度は大問4の生物分野がよく出来ており大問全体の正答率も80%を超えていました。

全教科に言えることですが特に理科は探究活動を通して思考力・判断力・表現力を問う出題となっています。

正答率が低かったのは大問3の問4、大問5の問2と問4などですが、極端な難問というほどではありません。
ただ、実験や観察の経過を正確につかまなければ解答に至らないので読解力も求められそうです。また、複数の現象などを結び付けて考察する力も求められています。

 

■参考:過去問題は、数年分遡っていくと問題傾向がより分かりやすくなります。1年分だけでなくさらに前年度へ、比較分析していくことをお勧めします。

<2023年度/令和5年度入試について:よみうり進学メディア>
〈2024年度入試〉東京都 都立高「都立入試問題 その傾向と対策は?」-令和6年度

<2022年度/令和4年度入試について:よみうり進学メディア>
〈2023年度入試〉東京都 都立高「必見!! 都立入試問題その傾向と対策は?」-令和5年度

<2021年度/令和3年度入試について:よみうり進学メディア>
〈2022年度入試〉都立高校「必見!! 都立入試問題その傾向と対策は?【①全体傾向】-前年度入試から探る」
〈2022年度入試〉「必見!! 都立入試問題その傾向と対策は?【②国語】」
〈2022年度入試〉「必見!! 都立入試問題その傾向と対策は?【③数学】」
〈2022年度入試〉「必見!! 都立入試問題その傾向と対策は?【④英語】」
〈2022年度入試〉「必見!! 都立入試問題その傾向と対策は?【⑤理科】」
〈2022年度入試〉「必見!! 都立入試問題その傾向と対策は?【⑥社会】」

 

(よみうり進学メディア編集部)

 

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