
今年のEDIX(教育総合展)。 たくさんの生成AI、校務DX実例が展示されました。
近年、学校現場ではICT教育や教育DX(デジタル・トランスフォーメーション)が急速に進んでいます。
1人1台端末の整備が進んだ「GIGAスクール構想」のスタートから数年が経ち、今、教育現場ではさらに大きな変化が起きています。
その中心にあるのが、「生成AI」の存在です。
生成AIとは、質問に答えたり、文章や画像を作ったりできる人工知能のことです。皆さんの中にも、「ChatGPT」などを使って調べものをしたり、勉強に活用したりした経験がある人がいるかもしれません。
2026年現在、生成AIは教育現場でも本格的な活用が広がっており、授業や探究学習、進路指導など、さまざまな場面で利用されています。
これまでのICT教育は、タブレットやパソコンを「使うこと」が中心でした。しかし教育DXでは、デジタル技術を活用しながら、「学び方そのもの」を変えていくことが目指されています。生成AIは、その変化をさらに加速させる存在として注目されています。
例えば授業では、AIが生徒一人ひとりの理解度に応じて問題を提案したり、学習内容をわかりやすく解説したりする取り組みが始まっています。英会話、英作文の添削や、小論文の構成アドバイス、プログラミング学習のサポートなどにも活用されており、まさに「自分専用の学習アシスタント」のような役割を果たしています。
一方で、AIを使う際には注意も必要です。生成AIは、ときに誤った情報を本当のことのように答えてしまうことがあります。これは「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれています。
例えば、存在しない歴史上の出来事を説明したり、誤った計算結果を示したりする場合もあります。
そのため、AIの答えをそのまま信じるのではなく、「本当に正しい情報なのか」を自分で確かめる力が重要になっています。
現在、多くの学校では「AIを使いこなす力」だけでなく、「AIの情報を見極める力」を育てる教育にも力を入れています。
インターネット上の情報を比較したり、複数の資料を調べたりしながら、自分で考える姿勢が求められているのです。
埼玉県でも教育DXの取り組みがさらに一歩先へと進んでいます。
県では独自に「埼玉県立学校における生徒向け生成AI利活用の手引き」やガイドラインを策定。県立学校ではこれらを活用しながら、授業支援システムや学習データの分析を取り入れ、生徒一人ひとりに合わせた学習支援の研究を進めています。
また、教員の「校務DX」も進み、採点補助や教材作成にAIを活用する学校も増えてきました。これにより、先生方が生徒の皆さんと向き合う時間を増やすことも期待されています。
高校教育では、文部科学省による「高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)」も引き続き注目されています。埼玉県内でも多くの高校が採択され、実践的なデジタル教育が進められています。
例えば、秋草学園高校ではVRを用い、実際には行くことのできない場所への仮想体験を通じての課題発見や、レーザーカッターを使用したモノづくりの探究活動。
県立飯能高校では、生成AIを活用したデータ分析や教科横断型探究に取り組み、生徒たちがAIを“使う側(動かす側)”として学ぶ授業を展開しています。
県立大宮東高校では、健康・スポーツ分野とデジタル技術を組み合わせ、センサーやデータ分析を活用した探究活動を実施するなど、最先端のDX教育を進めています。
2026年度から新たにDXハイスクール採択校となった秋草学園高校でも、次世代型の学びに向けた新たな挑戦が始まっています。
同校では以前から、修学旅行やSDGs学習などを通じて探究学習に力を入れてきました。
しかし、調べた情報を整理し、自ら問いを立て、さらにデジタルを活用して分析・考察する部分には課題も感じていたといいます。
そこで、DXハイスクールとしてまず重視するのが、「考え方」を身につけることです。
同校では、「アート思考」「ロジカル思考」「批判的思考(クリティカルシンキング)」など、社会で実際に活用されている思考法を授業に取り入れながら、生徒自身が問いを立て、課題解決へ向かう力を育てていく方針です。
そのうえで、「総合的な探究の時間」におけるデータサイエンス関連の学習などへとつなげていく構想を進めています。
同校ICT・情報改革チーフの関口和孝先生は、「一番大事なのは考え方」と語ります。「生成AIは便利なツールですが、ただ答えを受け取るだけでは、本当の学びにはつながりません。だからこそ、自分で考え、疑問を持ち、情報を整理する力が重要になるのです」。
今春校長に就任した遠山季代子先生は「デジタルをうまく活用できる基礎的な思考力や言語力を身につけ、その中で『どう活用するか』『どう使われないか』を考えられる、批判的思考のできる人材を育てたいです」と語り、さらに、AIについて、自分の頭の中にあるイメージを形にしたりビッグデータから新しい発見を得たりできる可能性を持つツールだとしたうえで「AIを単なる便利な機械としてではなく、自分自身の可能性を広げるための存在として活用してほしい」と、生徒たちには幅広い興味・関心を持ってほしいと話してくれました。
AI時代に必要なのは、情報を整理し、自分の考えを持ち、他者と協力しながら新しい価値を生み出す力です。
これからの社会では、AIはさらに身近な存在になっていくでしょう。だからこそ大切なのは、「AIに任せきりにする」のではなく、AIを活用しながら、自分自身で考え続けることです。
教育DXと生成AIは、皆さんの未来の学びを大きく変えようとしています。これから高校を選ぶ皆さんも、ぜひ「どんなデジタル教育に力を入れている学校なのか」という視点に注目してみてください。
(よみうり進学メディア編集部)
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