本番まで残り時間が少なくなってきました。
受験生にとって今が一番苦しい時かもしれませんが、それを乗り越えた時に、新しい自分を発見することになるでしょう。
今号では、もっと自分を伸ばす方法について考えてみます。
入試本番まで2か月から3か月、もしかしたらすでに2か月を切っている人もいるかもしれません。いずれにせよ、体力的にも精神的にも辛いところだと思います。
登山の世界でよく使われる言葉に「胸突き八丁(むなつきはっちょう)」というのがあります。頂上まであと少しという一番苦しい行程のことですが、転じて、目標達成直前のもっとも困難な局面という意味で使われます。皆さんはすでにそこに差し掛かっているか、または間もなくそこに至ります。
でも、ここを過ぎれば、少し楽になりますから、今が踏ん張りどころと考えてください。
確実に合格を手に入れるために志望校のランクを下げるというのは、作戦としては考えていいでしょう。
これからの成績の伸びや志望校の倍率などから、下げる判断が適切という場合もあるのです。
大事なのは、その判断を下すタイミングです。
ランクを上げるなら別ですが、下げる判断については手遅れというケースはほとんどありません。最後の最後で大丈夫です。
一時の苦しさから逃れるために、志望校のランクを下げるようなことをしてはいけません。
この時期になると、受験生から「今から頑張れば間に合いますか」という質問がよく寄せられます。
「えっ、ということは今までは頑張ってなかったの?」
逆にそう聞きたいところですが、要は今からでも学力(成績)は伸ばせますかという質問ですね。
であれば、伸びます。伸ばせます。
あと5年、10年、ずっと伸び続けます。
ただ、目の前の入試ということに限定すると、短期間に、自分より前を行っている受験生に追いつき、追い越すのはかなり難しいことだと思います。理由は、相手も前に進んでいるからです。
では、無理そうだからとここで立ち止まってしまったら。前に進むのをやめてしまったら。
すると今度は、後ろからやって来た人に追い越されてしまいます。
結局のところ、努力を継続してみるしかないということになります。
もし仮に、ほんの少しの差で追い越せなかったとしても、高校生活はそこからのスタートになります。高校入試は人生最後のレースではなく、最初のレースです。
さて、自分より前を行っている人を土壇場で大逆転し、合格を手にするにはどうしたらいいかです。
奇跡の大逆転を狙うなら、頑張るとか、気合を入れるといった精神的なものだけでは無理です。精神力の差が勝敗を分けるのは、実力に大差がないときです。
具体的な計画が必要です。勝てる作戦を立てなければなりません。
作戦の第一歩は、現状分析です。点数の伸びを妨げている原因を突き止めましょう。
原因がいくつかあったとしたら、そのうちの最大のものを取り除きましょう。小さなものをいくら解決しても大逆転にはつながりません。だから、大きなものからです。
いま皆さんが学んでいる教科の中に、高校に入ってなくなるものはありません。なくならないどころか、さらに高度になります。苦手だからとあきらめている場合ではないのです。
具体的な作戦計画は、皆さんの性格や学力を知っている先生方と相談してください。自分で考えるという姿勢は好ましいものですが、アドバイスは受けた方が絶対に得です。
一般論として言えば、問題を解きながら弱点分野や単元を克服する方法が効果的です。
教科書を一通り読んでから問題を解くのもいいですが、問題を解いてみて、分からないところは教科書を見て、その上でもう一回解いてみるという方法のほうが時間を節約できます。
何も見ないで解くことにこだわり過ぎてはいけません。本番当日にそのような状態になっていればいいのであって、今は途中経過ですから、むしろ教科書を何度も読み返したほうが理解は深まります。