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入試情報
2021.5.10

〈2022年度入試〉受験生の疑問に答えるQ&A 「志望校は偏差値前後いくつくらいから選べば良いですか?」ほか

Q1 私の受けたい高校は私立で偏差値がかなり高いところです。入試は3教科ですが、国数英どれもそこまで得意というわけではありません。これからは3教科に絞って勉強したいと思っていますが、高校に入ってからが心配です。どうすればよいでしょうか。

「高校に入ってからが心配」。その通りです。高校でも理科・社会はありますから、この段階で手を緩めてしまうと後で苦労します。まして「受けたい高校は私立でも偏差値がかなり高いところ」ということですから、なおさらです。そのような高校には、万能型の生徒が集まってくるものです。

また、将来の大学受験を考えても、国公立大学志望であれば5教科すべてが必要ですし、私立文系大学なら社会、私立理系大学なら理科が必須となります。

目の前の私立高校受験だけを考えれば3教科だけでいいようにも思えますが、それでは将来の可能性がどんどん狭まってしまいます。

受験対策として3教科に重点を置くのはかまいませんが、他の2教科(理科・社会)も手抜きせず、しっかりやりましょう。具体的には、授業には積極的に取り組み、定期考査では高得点を目指すということでいいでしょう。

気になるのは「国数英どれもそこまで得意というわけではありません」という点です。それでは上位私立の入試は戦えません。どれか一つ、得意教科と言えるレベルに引き上げましょう。

時間はまだ十分にあります。ただし前半戦が勝負です。夏休みが終わる頃までと考えてください。「得意と言える教科がない」という課題は、ただちに取り組むべき課題であって、後半戦に持ち越してはいけません。この間に国語でも数学でも英語でも、どれでもいいですから、今までの倍くらい勉強してください。ちょっと頑張るという程度では課題は解決しません。

Q2 中3になって受験が控えています。塾には行っているのですが、成績はよくありません。受験に向けて勉強を始めたいと思うのですが、どのようにすればよいでしょうか?おすすめの勉強方法などありますか?

塾に行っているのに成績が上がらないという話はよく聞きますね。受験生本人からも、保護者の皆さんからも、よく聞きます。

でもこれは、学校に通って授業を受けているだけでは成績が上がらないのと同じで、塾に行ったからといって、自動的に成績が上がることはないのです。当の塾の先生方も「来ているだけでは成績は上がらない」と仰っています。塾に行けば、それだけで成績が上がるというのは幻想です。

おすすめの勉強法。

これもよくある質問です。

中学校の先生方は教室で、授業中に、絶対に勉強の仕方を指導しています。塾の先生方はさらに厳しく、詳しく指導しています。

要は、それを適当に聞き流しているか、聞いたとしても実行していないのです。だから結果が出ないのです。

勉強法に関する情報はいろいろなところで見たり聞いたりすることができます。もちろん、それらは大いに参考になりますが、服で言えば既製品のようなものです。それに対し、中学校や塾の先生方の指導はオーダーメイドです。それぞれの生徒の学力や、興味関心、性格など、細かい点まで分かった上で指導しています。ですから、合わないはずはないのです。

自分にピッタリな勉強法を教えてくれているのに、なぜそれを聞かないのでしょう。なぜそのとおり実行してみようとしないのでしょう。

私にもおすすめの勉強法はあります。ただし、合う人と合わない人がいると思います。その点、中学校や塾の先生のご指導にはハズレがありません。

Q3 志望校は偏差値前後いくつくらいから選べば良いですか? 

あなたは偏差値で志望校を選ぼうとしているのですか? だったら、それはちょっと違うと思いますよ。

願書提出の直前だったら、まあ分からなくもありません。自分自身の偏差値推移とその学校の難易度を照らし合わせて最終的な出願校を決めるというのはよくあることです。

偏差値は、自分の得点と全体の平均点によって決まります(他にも要素はありますが、話を分かりやすくするために省略します)。

自分の得点も、全体の平均点も、テストごとに変化しますから、その都度自分の偏差値も変化します。もし偏差値で志望校を決めるとすれば、テストの度に志望校を変えなければいけないことになります。

説明会に行ったり、資料を調べたりして、まず自分の行きたい学校をはっきりさせます。その上で、行きたい学校の合格レベルに達していなければ、頑張って実力を引き上げればいいのです。

あなたの質問は、例えて言うなら「千円しか持っていないので、それで買えるものを教えてください」というのと一緒です。そうではなく、欲しいものを先に決めるのです。もしそれが1500円だったら、あきらめずに、不足している500円を手に入れる方法を考えるのです。

偏差値は、他の人が何点取ったかにも左右されますが、基本的には自分の得点が上がれば、それに連動して上がるものです。

まだ受験レースは始まったばかりです。時間はたっぷりありますから、これからの努力次第で、偏差値は5でも10でも上げられます。

Q4 勉強は出来ないのですが高校は選べますか? 

もちろん選べます。高校には公立もあり私立もあります。全日制もあり定時制もあり通信制もあります。普通科もあり専門学科もあり総合学科もあります。さまざまな選択肢があって、選ぶのが大変なくらいです。

ただし、多くの受験生が殺到する人気校の場合、合否は学力順(学力検査の点数順)になることが多いので、その際は勉強が出来ないことが不利になる可能性が高いです。

一方、学校や学科によっては、入試の際、5教科の成績より体育や音楽・美術などの技術・能力が重視される場合があります。もし5教科の勉強以外で好きな教科や得意な教科があれば、それを生かした学校・学科選びをするのもいいでしょう。

ここまでは受験の話です。

次は、高校入学後の話です。

どこの学校、また、どんな学科に入っても勉強は続きます。そして、高校では勉強ができないと進級できなかったり、卒業できなかったりする場合があります。そこが義務教育である中学校との大きな違いです。勉強が出来なくて困るのは、高校に入る時より、むしろ高校に入ってからだと言えます。

出来ない人の大部分はやらない人です。やっているのに出来ないという人はあまりいません。もちろんちょっとやっただけで突然苦手が得意になるようなことはありませんが、やった分だけの成果は必ず得られます。そうすると、その分だけ学校選択の範囲が広がります。

世の中に無駄な努力はないのです。その時は無駄だと思っても、きっとどこかで役に立ちます。

Q5 中学3年生です。受験生なんですがゲームがやりたいです。

大人でも結構はまっている人がいるみたいですね。電車の中などで夢中になっている人をよく見かけます。でも、職場に行けば、お仕事モードに切り替えるはずなので、まあいいでしょう。こういうのを「オンとオフの切り替え」と言います。

受験が終わるまではゲーム禁止。

これも一つの考え方です。高校生や大学生になっても、大人になってからも「何々するまで、何々しません」という誓いを立てることはあります。ですから、合格を手にするまでゲームを封印するのもいいでしょう。

でも、やっぱりやりたい。

だったら、時と場所に制限をかけることです。

たとえば、学校や塾ではやらない。休み時間や待機時間であってもやらない。やるのは家だけ。家でもやるのはリビングだけ、自分の部屋ではやらない。連続2時間以上はやらない。宿題を済ませてからにする。睡眠時間を削らない、など。

大事なことは、こうしたルールを自ら決めることです。禁止されたり、命令されたりしてやめるのは当たり前のことです(それすら出来ない人も世の中にはいますが)。

元々世の中のルールは最低限のことを決めているのです。誰でも出来そうなレベルで決めているのです。ですから、それよりちょっと厳しめのルールを自ら決められるかどうかが、その人の価値を決めるのです。

一切禁止するか。条件付きで認めるか。ぜひ自分自身で決めてみてください。これは何もゲームに限った話ではありません。生活全般に言えることだと思います。

(教育ジャーナリスト梅野弘之)

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