職業選択はまだ先でもいいと思いますよ。たぶん、あなたが知っている職業はいまある職業のうちの1%にも満たないと思います。日本にどのくらいの職業(職種)が存在するかに興味があったら「厚生労働省 職業分類」と検索して調べてみてください。
中学校では、なりたい職業などについて聞かれることもあるかと思いますが、それは皆さんに職業に興味関心を持ち、働くことの意味について考えてもらいたいからです。高校で勉強して、いろんな体験をして、徐々に決めていけばいいことです。
高校で普通科を選んでも、理数科を選んでも、それによって将来の職業が限定されたり、入れる大学が限定されたりすることはありません。
ですから、単純に好きな方を選んでください。
どちらを選んでも、英数国理社から芸術体育家庭情報まで全部やります。一通り全部やらないと高校を卒業できないからです。
ただし、仮に理数科を選んだとしたら数学や理科(物理・化学・生物・地学)の授業時間数がかなり多くなります。ということは、その分国語や英語・社会の時間が少なくなりますが、今も言ったようにゼロにはなりません。
どちらかを選ぶ場合、いま現在の成績で考えがちです。それでもいいのですが、「好き」かどうかも重要です。「嫌い」とか「苦手」というのは、ここでは考えません。
理数科に向いているのは、数学や理科が「ものすごく好き」という人です。「英国社に比べれば好き」という程度なら普通科にしておいたほうがいいと思います。
別の質問者(Q1)と同じで「具体的に目指している職業はまだありません」ということですね。回答が重複しますが、具体的な職業を決めるのはもっと先でもいいです。
もちろん、すでに決まっている人はそれでもいいですし、この先変わることがあっても構いません。
ただ、常に職業に関心を持つことはいいことです。感心します。
さて、学校をどうやって選ぶかですが、学力については、いったん脇に置いておきましょう。
入試には一般的に学力試験が伴うので、その点では学力はもっとも重要な要素となるのですが、ここから入らない方がいいと思います。最後には考えなくてはなりませんが、最初に考えることではないということです。
校風、卒業後の進路、通学等と例を挙げられていますが、もちろん、これは一部ですね。他にも選ぶ要素というか基準はたくさんありますが、そのあたりは分かった上での質問だと思います。
さまざまな基準のうち、どれを最も重視するかは人によって違います。
では、その違いはどこから来るかですが、おそらく思い描いている高校生活の違いでしょう。
バリバリ勉強するのか、ガンガン部活をやりたいのか、どっちも目いっぱいやりたいのか。それとも、勉強も部活もゆるめでいいや、なのか。あるいはまた、資格を手に入れたり、何らかの技術を身につけたいのか。
そこから入って行くと、自ずから学校は絞られてきます。逆に言えば、そういったものがなかったり、薄かったりするから、基準が決まらず学校が絞り切れないのです。
まず質問者さんには「思い立ったが吉日(きちじつ)」ということわざを教えておきましょう。ことわざや四字熟語は入試にも出ますからね。
このことわざは、何か物事を始めようと思ったのなら、日を選ばずにただちに行動するのが良いという教えです。
間に合うかどうかはやってみなければ分かりません。あなたにも、周りの人にも、誰にも分かりません。ですから、間に合うと信じて、また、間に合わせるのだという強い心を持ってやってみてください。そして、万が一間に合わなかったら、その教訓を次に生かしてください。人はそうやって成長していくものです。
受けたい学校が学校選択問題を採用しています、ということから埼玉県公立の受験希望者であることが分かりますが、ここでは、苦手な英語をどうするかという一般論でお答えします。
苦手な教科がある瞬間から得意になることはあります。「目ざめる」というか「覚醒(かくせい)する」というか、何かのきっかけで急に好きになったり、興味を持ったりして、得意に転ずることはあるのです。
ですから、自分は英語がダメと決めつけるのをやめましょう。ダメと決めつけると行動しないのでチャンスに巡り合えないのです。チャンスに巡り合わなければ自分は変わりません。
点数や偏差値が少しばかり低いからといって、それだけで自分は英語が苦手と決めつけているあなた。問題はそこです。
「他ができるんだから、英語だって出来るはずだ」。そう思えたときに、あなたは全く別の世界を見ることになるでしょう。
ここでは、特定の出版社や特定の問題集を名指しすることはできないのであしからず。
一般論としては、やはり過去問題集でしょうね。これ抜きの入試対策は考えられません。
各都県の過去問題は、教育委員会のホームページからもダウンロードできますが、使い勝手を考えると、やはり市販の過去問題集の方がいいでしょう。「塾無し・自主勉強派」の受験生にとっては、解答だけでなく解説も付いている点が有難いです。
それ以外の問題集を選ぶ場合は、難易度をどのあたりに置いているかを見るべきでしょう。薬などと同じで、誰にでも、何にでも効くというのはありません。ECサイト(Amazonみたいなところ)でも購入できますが、実際の店舗(本屋さん)に行き、ぱらぱらとめくってみて、自分に解けそうなものを選びましょう。
難しいものをやれば力がつくとは限りません。見栄を張ってはいけません。あまり背伸びをしてはいけません。初心者がオリンピックに出るような選手と同じトレーニングをしても、身体を壊すだけで効果は期待できません。
過去問にしろ、それ以外の問題集にしろ、大事なのは1回だけで終わらせないことです。完璧に出来るまで繰り返しやってください。
中には「一応やりました」などと言う人がいますが、甘すぎます。入試を舐めてはいけません。「一応やりました」程度の問題集を何冊積み上げても、そんなものは入試での力になってくれません。たとえ数は少なくても完璧を目指しましょう。
何でも聞いてください。もちろん学費のことも。私立学校側もむしろこの点は尋ねて欲しいと思ってるんじゃないですか。公私間の学費格差は縮小に向かっていますから、意外と高くないとか、いろいろな奨学金制度があるとか、そういうことは知ってもらいたいのです。
ただ、子供の前で「お金の話をするのはどうも」という方もおられるでしょうね。「うち、お金に困ってるのかな?」とか「親に負担かけるから私立はやめたほうがいいのかな?」とか、子供に余計な心配させたくはないですよね。
ですから、そういう点が特に気になる方は、別の機会に親だけで面談可能かとか、電話で相談できるかとか聞いてみてください。そのあたりは、公立でも私立でも親身になって対応してくれると思います。
もしも、「つまらん質問するな」とばかりに、人を見下すような態度だったとしたら、その学校は選ばない方がいいです。
今はまだ、入るか入らないか分からない「お客様」の段階ですが、その段階で、そのような態度だとしたら、指導する側とされる側がはっきりする入学後は推して知るべしです。
最近は、3年間でかかるすべての費用を詳細に説明してくれる学校がほとんどです。入試要項やその他配布資料に示された費用がすべてであると考えて大丈夫です。多少の誤差や個人差はあるにしても、元から示されていない費用が急に請求されることはありませんから、その点は安心してください。先生方も家に帰れば一人の親という場合が多いですから、皆さんのお気持ちはよく分かっています。
(回答者:教育ジャーナリスト 梅野弘之)