栄北高校では3年生数学(数Ⅲ)の授業を見学しました。担当は兼杉僚太先生です。
このクラスは同校では上位に当たる特類選抜理系の授業なので、かなりハイレベルです。生徒の中には東大や東工大志望者もいます。
高校3年の教科書は、すでに1学期の最初の段階で終わっています。進学校はどこでもそうですが、理系の難関大学を目指すなら3年分の教科書を2年間で終わらせるくらいでないと太刀打ちできません。
数学の授業は毎日あり、問題演習を繰り返します。と言うと、単調でつまらない授業を想像してしまいますが、生徒たちは入学後これまで授業の中ですっかり数学好きになり、解くことが楽しみになっているので、そんな心配は要りません。数学が苦痛という人からすればうらやましい限りです。
先生は挨拶が終わるや否や黒板に今日の問題を書き始めました。ただ、口ではノーベル賞をとった真鍋博士の研究の意義について語っています。普通はどちらか一つですが、先生は異なる二つを同時にやってのけます。
授業は集団授業方式ですが、先生は何度も生徒の間をグルグル回り質問に答えたりアドバイスしたりします。生徒の中には簡単に解けてしまって勝手に?先に進んでいる子もいますが、それにも対応します。ここでも先生は集団と個別を同時に進めます。どうやら同時進行が先生の得意技であるようです。
先生はすぐに答は言ってくれませんが、ヒントはよく出してくれます。それが少しずつなのは、何とか自力で解かせようという気持ちの現れなのでしょう。こうした繰り返しで「数学好き」が育って行きます。
授業内での完結を目指すということで予習復習は強制していないとのことです。数学の授業が週6時間もあること、生徒たちが科目数の多い国公立を目指していることなどを考えると、この方法が合理的なのでしょう。
先生は中学3年にして早くも教師を志したといいます。「先生によって自分の人生が(良い方向に)変わった」「今度は自分がその立場になろう」、そう考えてこの道に入りました。まだ30代前半、これからもたくさんの得意技を編み出してくれそうです。
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