2020年より実施される「新学習指導要領」では情報活用能力の育成と学校におけるICT環境整備とICTを活用した学習活動が大きな柱となっています。
小学校・中学校でプログラミング教育が必修となり、高校では共通必履修科目「情報Ⅰ」が新設されることが決まっています。つまり、すべての生徒がプログラミングなど基礎的なICTの概念を習うことになります。
ICTとは、Information and Communication Technology(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)の略です。
ICT教育とは、学校教育において「電子機器や通信機器を使って情報・知識の交流をする」こと、または「ICT機器を使った教育」という意味になります。
ICT教育には環境の整備が欠かせません。文部科学省が実施した2018年3月現在の調査では埼玉県は教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数が7.9人となっており、全国最下位という結果でした。残念ながら、なかなか整備が進んでいないというのが実情のようです。
進捗が無いわけではありません。埼玉県立高校では、これまで以上にICTを取り入れた教育に活かすという「近未来学校教育創造プロジェクト」が開始されています。計画では今後、公立高等学校139校にChromebook、アクセスポイント、プロジェクターをステップごとに今後3年間で全校に入れる計画が進んでいます。
今年の1月17日には埼玉県立川越南高校(川越市)でICT化チャレンジ授業が公開されました。同校は平成30年度に開始した「次期学習指導要領に対応したICT環境整備事業」によって、タブレット、プロジェクターを、一部の検証校に先んじて導入。公開授業ではChromebookやGoogle Classroomを活用した化学と情報の授業の様子を発表しました。
また、いち早くICT環境が整備された、さいたま市立大宮北高校(さいたま市)では29年度入学生からタブレットの全員利用がはじまっています。公立高校としては国内屈指のICT環境を有し、オンライン英会話や、大学出願などへの利用が開始された「ポートフォリオ」の作成などフル活用しているとのことです。
では、ICTを取り入れることでどのように授業は変わるのでしょうか?
いち早く教育のICT化に取り組んだ聖望学園中学校高等学校(飯能市)のICT委員長の永澤勇気先生先生と募集広報部長の佐藤淳二先生に話を聞きました。
「導入の結果、『写す時間』が減って、『考える時間』が増えました。先生が一方的に話し、板書を写して終わるような従来の授業から、予め学習内容を用意することで、ノータイムで配信を行います。その分の時間が考える時間、また生徒同士で話し合う時間へと変わりました」(永澤先生)。
まとめ方も大きく変わりました。生徒が自由に書き込んだシートをクラス全員で共有したり、比較したりすることで、上手なまとめ方を生徒同士で教えあうことで、理解度が深まるそうです。
授業中のプリントや宿題の配信はもちろん、教員と生徒の個別連絡も行えます。「部活動に取り組む生徒が多いのですが、部活後の時間に映像講座を受講できるなど、時間に縛られないこともポイントです」(佐藤先生)
生徒だけではなく先生同士でオリジナル教材を共有、さらに個々にアレンジを加えることで先生方もレベルアップを実感しているそうです。
キーワードは「双方向」ですが、様々な位相で双方向な交流が行われているようです。
「アイデア次第で無限に活用できると感じています。ICTは導入しただけでは意味はありません。どう活用するかが重要です」(永澤先生)
同校以外の県内私立高校でも既に最新のICT機器を使った学びを積極的に進めています。
こうした取り組みは、これからの学校選びのポイントになるかもしれません。学校訪問の際には注目してみてください。