「理数系」の強化を目指して
京北学園は明治32年、東洋大学の創設者井上円了によって創立され、その後、平成23年に東洋大学と法人合併し現在に至る。
戦前には、都内有数の進学校であり、これまで多くの文化人や実業家を輩出した名門校として知られている。
生まれ変わった新生東洋大学京北高等学校の教育方針は、「これまでの伝統を生かし、その上で新たな教育を創造する」ことだ。
副校長就任から5年、現校長の星野純一郎先生にお話を伺った。
教養主義型授業で、次のステップを目指す
「私は哲学が嫌いでした。この学校に来て、改めて問いを立てる楽しさ、考える面白さ、表現の多様性を気づかせていただきました」星野校長の謙虚で前向きな人柄が伺える。さらに「これまでの改革の成果は確実に上がっています。今後は、理数教育を全力で推進します」と今後の方針を語る。
同校の教育方針は、教養主義。2年次から、文系・理系の教科選択はあるが、都立の上位校でも主流となっている、国立大学受験型の5教科7科目型システム。その分、授業時間は増加するが、より深い知識を身に付けることができるのだ。
星野校長は続ける。「本校と東洋大学は、『諸学の基礎は哲学にあり』を建学の精神としています。そのためか本校は、文系のイメージがあるかもしれません。しかし、哲学は、人としての道や生き方の道しるべであり、文理共通です。実践教育・体験活動を重視する教育の中で、理系志望者は増加しています」。
哲学を通して育み、より良く生きるために
建学の精神にある「哲学」とは、中学生には、なじみのない学問だが、何のために人は生きるのか、向上心を持つのか、善悪の感情を持てるかなど、実験では検証できない分野の学問であり、生活のあらゆる面で存在する諸問題を考える学問といえる。
同校では、3月に「哲学の日」を設け、識者による記念講演や生徒による哲学エッセーコンテストを実施している。
自分の考えをまとめる機会、あるいは他人の意見を聞く機会としても「哲学の日」は大きな意義があるようだ。
また、今年の民法改正により18歳で成人となることに関して、「哲学で心を鍛え、高校3年生で成人を迎えた時、大人の視点を持つ人になれると確信しています」と校長は断言した。
『あなたの幸せってなに?』、『可能性に限界をつくるな』、生徒たちの自由な思索(哲学する心)は続いている。
3本の柱の根幹を支える【実践教育・体験学習】
同校の教育活動は「授業が一番」とし、その上で3本の柱によって支えられる。
哲学教育―物事の本質を深く考え、自ら判断し行動する心を育てることを目指す。体験活動として哲学ゼミ、哲学エッセーコンテストなど6プログラムで「生き方教育」を実践。
国際教育―国際社会に対応できる人材育成を目指す。語学研修のために英語スピーチコンテスト、英検デイを設け推奨する。コロナ禍のため、控えてはいるが、海外体験プログラムとしてセブ島英語研修やオレゴンサマープログラムなどを予定。
キャリア教育―講演会等を通じて、自らの進路を考えると同時に、生徒手帳『今⇔未来』を利用した学習計画の習慣化を目指す。進路希望実現のために、先輩たちの受験報告会、著名人によるキャリア講演会、チューター制による放課後自主学習などを実施。
この3本の柱に、星野校長の話す実践教育、体験活動が寄り添う。
また、大学と連携し、アチーブイングリッシュ講座の履修、未来の科学者育成プロジェクトを実施。新たに海外の研修生が対象の特許庁委託事業「知材研修」において、パテントコンテストに参加した内容を英語で説明し、質疑を受けた。目指すのはスケールの大きな国際人や視野の広い科学者の育成だ。
「現状では、海外に行くことは難しいため、それに代えて国内英語キャンプとして東洋大学河口湖セミナーハウスでの研修を実施しています」。コロナ禍でも、同校の教育方針に揺るぎはない。
色々な面に新しい教育の工夫が
同校では、授業時間の確保や生活面でも斬新な試みを実行している。
2学期制―授業時間の確保‐授業時間は、45分7コマを採用。
ノーチャイム制―授業の開始と終了にチャイムを鳴らさない。
一足制―上履きに履き替えない。
部活動―基本的には、週4日の活動。
中学時代より大幅に増える授業時間、より専門的になった内容、自主性を求められる学校生活、限られた時間の中で、活発に活動する部活動などにより、生徒たちは日々成長していく。
また、本気になってそれを支え、熱心に生徒一人ひとりに向き合う教師陣がいることが星野校長の自慢のようだ。
先述の「哲学教育」をはじめ、東洋大学との高大連携教育、英語ルームの設置やネイティブ講師の活用、今年から始まった「探究」の授業の充実などにおける工夫や実践には、全教職員のたゆまぬ努力が続けられている。
見事に進路目標をクリア、2年後の目標は更に倍増
今春の大学合格実績では、国公立10人、早慶上理ICU37人、GMARCH関関同立110人、東洋大学182人などとなり、大学の定員の厳格化や大学の入試改革などで受験が厳しくなっている中で、前年を上回る実績となった。
学校が掲げる進路目標は、国公立40人、難関私大80人、GMARCH250人などとさらに高い。
7割の生徒は、系列の東洋大学への進学が可能な枠を持っているが、目標はあくまでも国公立大学や難関私立大学への進学である。(PR)