明治31年、京北学園の前身となる京北尋常中学校は東洋大学の学祖、井上円了によって創立された。その後、平成24年に東洋大学と法人合併、平成27年に大学附属、共学、新校舎として再スタートし、現在に至る。
今年で創立から125年。戦前には都内有数の進学校であり、これまで多くの文化人や実業家を輩出してきた名門校として知られている。
生まれ変わって8年の新生・東洋大学京北高等学校の方針は『これまでの伝統を生かし、そのうえで新たな教育を創造すること』。哲学する心が成長の翼を与える
校長の星野先生は「学生時代、私は哲学が嫌いでした。この学校に来て、改めて課題を見つける楽しさ、考える面白さ、表現の多様性を気づかせていただきました」と話す。謙虚で、前向きな人柄が感じられる。
「これまでの8年で、改革の成果は確実に上がっています。今後は理数教育と国際理解教育を全力で推進します」と今後の目標を語った。
同校の教育方針は、全教科履修型。2年次から文系・理系の教科選択はあるが、国立大学受験型の5教科7科目型システムとなっている。そのため2学期制を採用、45分7コマの授業を実施し、1週間で40コマを学ぶことができる。
都立の上位校よりも授業時間は多いが、その分より深い知識を身に付けることを目指している。
加えて『日々の到達度テスト』では学力の定着を図るCycle4システムを導入、放課後に補習授業を行う『アフタースクールプログラム』では1人の生徒もこぼさない体制を構築する。
「本校と東洋大学は『諸学の基礎は哲学にあり』を建学の精神としています。そのためか本校は文系のイメージがあるかもしれません。しかし哲学は、人としての道や生き方の道しるべであり、文理共通です。実践教育・体験活動を重視する教育の中で、理系志望者は確実に増加しています」。星野校長の方針は、着実に実を結んでいるようだ。
学校の建学の精神にある「哲学」は、中学生にはなじみのない学問かもしれない。
哲学とは、何のために人は生きるのか、向上心を持つのか、善悪の感情を持てるかなど、実験では検証できない分野の学問であり、我々の生活のあらゆる面で存在する諸問題を考える学問ともいえる。
同校では3月の学祖生誕の日に哲学の日を設け、識者による記念講演や生徒による哲学エッセーコンテストを実施している。自分の考えをまとめる機会、あるいは他人の意見を聞く機会としても哲学の日は大きな意義があるようだ。
また、昨年の民法改正によって生徒たちは18歳で成人となる。「哲学で心を鍛えることで、高校3年生で成人となったとき、大人の視点を持てる人になれると確信しています」と星野校長は断言した。
「命ってなに?」「あなたの幸せってなに?」、生徒たちの自由な思索『哲学する心』は今日も続いている。
【実践教育・体験学習】
同校の教育活動は「授業が一番」とし、その上で3本の柱によって支えられる形だ。
哲学教育ー物事の本質を深く考え、自ら判断し行動するなどの心を育てることを目指す。体験活動として哲学ゼミ、哲学エッセーコンテストなど6テーマで『生き方教育』を実践。
国際教育ー国際社会に対応できる人材育成を目指す。語学研修のために英語スピーチコンテスト、英検を推奨する。
「コロナ禍が明け、海外研修が解禁になりました。希望制ですがオレゴンでのサマープログラム、フィリピン・セブ島での英語研修などを計画しています。生徒たちにチャレンジするチャンスをたくさん与えたい」。いよいよ保留されていた本番がリスタートする。
キャリア教育ー講演会などを通じて、自らの進路を考えると同時に、生徒手帳『今⇔未来』を利用した学習計画の習慣化を目指す。進路希望実現のために、先輩たちの受験報告会、著名人によるキャリア講演会、チューターによる放課後学習などを実施。
それぞれの柱に、星野校長の目指す実践教育、体験活動が寄り添う形だ。
また、大学との連携で『アチーブイングリッシュ講座』の履修や、『未来の科学者育成プロジェクト』を実施。さらに文部科学省や特許庁等が主催する『パテントコンテスト』への応募。このコンテストは応募のみではなく、500を超える参加校や審査員の前で英語によるプレゼンへの参加が求められる。
さまざまなイベントを通じて、目指すのはスケールの大きな国際人や、視野が広い科学者の育成だ。
同校の部活動は、週4日の活動を原則としている。また入学に際して、部活動優遇はない。しかし部活動への加入者は多く、フットサル部は全国で活躍、軟式野球部、華道部等は都内で入賞・入選するなど、着実に成果をあげている。
中学時代より大幅に増える授業時間、より専門的になった内容、限られた時間の中で活動する部活など、自主性を求められる学校生活の中で生徒たちは強い緊張を強いられる。
しかし本気になってそれらを支え、熱心に生徒一人ひとりと向き合う教師陣がいることが星野校長の自慢だ。
東洋大学との高大連携、英語教育ではイングリッシュ・カンバセーション・ルーム設置や、ネイティブ講師の活用、教科『情報』でのパイソンによるプログラミングなどの工夫・実践には、現在も全教職員のたゆまぬ努力が続けられている。
今春の大学合格実績では、国公立17人、早慶上理ICU35人、GMARCH同志社立命館178人、東洋大学175人などとなり、大学の入試改革などで受験が厳しくなっている中、前年を上回る実績があった。さらに、国立医学部医学科に現役合格など、理数系の実績が上昇している。
しかし、学校が掲げる進路目標はさらに高く、国公立40人、難関私大60人、GMARCH120人などを目指している。
7割の生徒は系列の東洋大学への進学が可能となっているが、目標はあくまでも国公立大学や難関私立大学への進学である。(PR)