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2023.9.28

特別寄稿「人気高まる私立高の魅力」 大学通信情報編集部 大野香代子先生

2学期が始まり、いよいよ本格的に受験勉強が始まります。これから来年の高校入試までは、気を緩めることなく、勉強に集中してください。
新型コロナウィルスが5類に移行して感染対策が緩和されましたが、以前の生活が戻り、学校行事も通常通りに実施されています。ただ、感染が無くなったわけではありませんので、今まで通り、基本的な感染対策を続けていく方が安心です。

2学期半ばには三者面談が始まり、志望校を最終的に決定します。早めに志望校を決めて目標を定められると、精神的にも落ち着きます。
高校入試では、基本的に内申点が志望校選びの基準として重視されています。だから、受験勉強だけでなく、定期テスト対策も万全にして、少しでも内申点を得ることが大切。その上で、学力に合った学校を選び、確実に合格を狙うのが一般的です。

受験生の多くが第一志望として考えているのが公立高です。しかし、公立高の受検チャンスは1回なので、何校も受けることができません。もし不合格だったら大変です。それを避けるために、すべり止めとして私立高を併願します。すべり止めでも、公立高に不合格だったら自分が進学する学校になるわけですから、事前に学校をよく調べておくことが必要です。

私立高には単願受験と併願受験があります。公立高が第一志望なら、公立高に不合格だった場合に進学することを前提とした併願受験を利用します。私立高を第一志望にするなら、単願で受験するほうが有利になります。いずれも出願基準(内申点)をクリアしていることが必要です。内申点だけでなく、模試の結果(偏差値)を見てくれる私立高もあります。積極的に高校受験模試を受けて、自分の実力を確認しておきましょう。

私立高人気アップの理由は?

近年は、私立高の人気が高く、私立高を第一志望にする受験生が増えています。多様な教育が受けられることが大きな理由です。
大学進学へのサポートはもちろんのこと、海外大進学や海外研修・留学などのグローバル教育の推進にも熱心です。フィールドワークなど社会と結びついた学び、実践的なアクティブラーニングの授業、パソコンやタブレットを利用したICT(情報通信技術)教育なども積極的に行われています。
カリキュラムにコース制を採用している私立高も多くあります。自分の将来の目的に合ったコースを選択することで、効率的な学習を進めることができます。
さらに、クラブ活動や委員会活動、生徒中心の学校行事などが活発に行われ、リーダーシップやコミュニケーション力が養われています。文化講演会や講座などを通して、教養を深める機会も多く設けられています。

また、公立高にはないのが、大学の付属校です。
一般の大学入試を経ずに、高校からの内部進学制度で併設大へ進学可能で、大学受験の負担が軽くなります。ただし、併設大へ進学できる人数がほぼ全員の学校から、わずか数人の学校まで、進学状況や条件はさまざまです。併設大の学部・学科も事前に調べておく必要があります。
最近は併設大だけでなく、他大学合格実績が好調な「進学付属校」が増えており、進学の選択肢の幅が広いため人気になっています。

伸長著しい大学合格実績

近年、大学合格実績が年々伸びていることも高く評価されています。
特に埼玉の私立高では、東大をはじめとした難関国公立大や早慶上理(早稲田大、慶應義塾大、上智大、東京理科大)、MARCH(明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大)などの難関私立大の合格者が増加しています。合格者数が全国トップの学校もあるほどです。

また、現役合格者が多いことも特徴のひとつです。大学受験に対応したカリキュラムや長期休暇中の補習等で、現役合格が可能な学力を養っているからです。
放課後の自習室が設置され、わからないところを質問できるチューターがいるなど、勉強する環境も整っています。最近では夜8時ごろまで自習室を開放してくれる学校もあるようです。家で孤独に勉強するのではなく、同じ目的を持った友人と学校で共に勉強できるのは心強いものです。

高校では、2022年度から新学習指導要領に基づいた教育が行われています。新しい科目が設置され、情報も必修科目になり、プログラミングを学んでいます。
現高2が受験する25年度大学入試からは、新学習指導要領に沿った内容の出題に変更されます。大学入学共通テストも、情報を加えた7教科21科目に再編されます。

このようなカリキュラムや大学入試の変更にも、私立高には柔軟に対応するノウハウがあります。教員が協力し、常に工夫を重ねて努力を続けてきた経験と実績が、私立高には蓄積されています。

私立高は公立高と比較して学費が高いと悩む保護者も多いと思います。しかし今は、国による就学支援金のほかに、各地方自治体による学費の軽減措置があります。埼玉県はその内容が全国の中でも充実しており、保護者の負担が軽減されているため、少ない負担額で私立高に通うことが可能です。このほか、私立高には独自の奨学金制度が用意されていますので、募集要項などで確認してください。

志望校は自分の目で必ず確かめる

自分に合った学校を探すためには、実際に学校を訪問するのが一番です。学校説明会やオープンスクール、体験入学などを有効に活用してください。また、秋は文化祭などの学校行事が目白押しです。在校生の様子がわかる絶好のチャンスですので、ぜひ参加してください。
このような行事には、事前に参加申し込みが必要な場合も多く、学校のホームページなどでチェックしておきましょう。人気校のイベントは早々に定員が埋まってしまうこともありますので注意してください。

(大学通信情報編集部 大野香代子先生)

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