理数教育の強化」が結果に繋がり始めた
明治31年、、東洋大学の学組井上円了によって創立された京北尋常中学校。京北学園の前身である同校は戦前、都内有数の進学校として多くの文化人や実業家を輩出したことで知られる。
平成24年に東洋大学と法人合併、平成27年大学附属となり共学化、新校舎も竣工し再スタートを切った。
創立127年、生まれ変わって10年となった東洋大学京北高等学校。教育目標は『本当の教養を身に付けた国際人の育成』、さらに今年度は『スーパーサイエンススクール(SSH)採択校』を目指す。
全教科履修型の授業で、生徒の可能性を最大限に
校長の星野純一郎先生は「今年の大学入試から新課程の科目が増えました。情報のプログラミングでは、パイソンのプログラムを使用し、本格的な授業を実施しています』と話す。
同校の教育方針は、全教科履修型。2年次から文系・理系の教科選択はあるが、国立大学受験型の6教科8科目型システムとなっている。大学入学共通テストに加わる『情報』に、強い覚悟で取り組んでいるようだ。
カリキュラムは2学期制を採用、45分7コマ、1週間で39コマの授業を行う。都立・県立の上位校よりも圧倒的に授業時数が多く、より深い知識が得られる。
さらにCycle4システムを導入、これは日々の到達度テストで学力の定着を図るものだ。放課後には「ASP(アフタースクールプログラム)」で補習授業を行うとともに、より高みを目指す生徒への学びもサポート。
「本校と東洋大学は『諸学の基礎は哲学にあり』を建学の精神としています。哲学は人としての道や、生き方の道しるべであり、文理共通です。
多くの科目を学ぶことで偏らない知識を身に付け、実践教育・体験活動を重視する教育方針は、文系・理系を問わず将来に渡って役立つはずです」。星野校長の視野は、生徒たちの可能性を最大限に引き出すことに向かっている。
哲学的な思考を養う5つの要素
建学の精神『哲学』は、あらゆる物事に対して前提から問い直し、審理に迫ろうと探究することだ。なぜそのように言えるのか、その根拠は何か、それ以外の考え方はないのかなど、生活のあらゆる面で存在する諸問題を考える学問ともいえる。
哲学的な思考を養うためには教養、体験、創造力、論述、発表の5つの要素がある。
同校ではこれらの伸長のため、3月の学祖生誕の日を『哲学の日』とし、識者による記念講演や生徒による哲学エッセーコンテストなどを設けている。
自分の考えをまとめる機会、あるいは他人の意見を聴く機会として、『哲学の日』は大きな意義があるようだ。
「哲学を通じて心を鍛えることで、高校3年生で成人になったときに大人の視点を持った人になれると確信しています」と星野校長は断言した。
『迷惑をかけなければ何をしてもいいのか?』『人の命と蚊の命の価値の違いは?』、生徒たちの自由な思索(しさく)『哲学する心』は今日も続いている。
3本の柱の根幹を支える【実践教育・体験学習】
同校の教育は『授業が一番』を中心に、3本の柱が支えていく。
哲学教育│体験活動として哲学ゼミ、哲学エッセーコンテストなど、6テーマで『生き方教育』を実践。さらに創造力育成プログラム(哲学ラボ)では、特許庁等が主催するパテントコンテストへ応募。これは500超の参加校があり、英語によるプレゼンを行うものだ。東洋大学京北高等学校は6年度に優秀賞を獲得している。
国際教育│国際社会に対応できる人材育成を目指す。オランダのライデン大学と連携し学生と哲学対話を行うなど、実践教育を行っている。希望制だがアイルランドへの1年間の留学やオレゴンでのサマープログラムなども実施。
キャリア教育│講演会等を通じて自らの進路を考えると同時に、生徒手帳『今⇔未来』を利用した学習の習慣化を目指す。希望進路の実現へ、先輩たちによる受験報告会、著名人によるキャリア講演会、チューターによる放課後自主学習などを実施している。また、大学と連携しアチーブイングリッシュ講座の履修や、未来の科学者育成プロジェクトでの学びがある。
3本の柱それぞれに、星野校長の目指す実践教育、体験学習が寄り添い、さまざまな行事や活動を通じて、スケールの大きな国際人、視野の広い科学者を育成していく。
教師陣の心強い支援、学校生活、部活動も躍動
同校の部活動は、原則週4日活動、約7割が加入。入学に際して部活動優遇はないが、ダンス部は世界で活躍し、フットサル部、軟式野球部、華道部等は都内で入賞・入選などの実績を誇る。
中学時代に比べ大幅に増える授業時間、より専門的になる授業内容、限られた時間の中で活動する部活など、自主性を求められる学校生活は、生徒たちにとって強い緊張を強いられるものだ。
しかしそれを支え、熱心に生徒一人ひとりに向き合う教師陣がいることも星野校長の自慢のひとつだ。新たにSSHの取得を目指すことを発表
本年度の始業にあたり星野校長は、文部科学省が指定するSSH(スーパーサイエンスハイスク‐ル)採択校を目指すと発表した。
SSHでは、先進的な科学技術、理科・数学教育を通じて、生徒の科学的な探究能力等を培うことで、将来社会を牽引する科学技術人材を育成することを目標とする。
同校では、自然科学と人文・社会科学との融合による『総合知』の創出と、文理横断的な課題研究を推進する。文系であっても理系の素養、その逆の理系で文系の素養を持つ人材などの育成を目標としている。『科学への夢』を育み、『哲学の心』を持ち『グローバルな視野』を養うSSHの指定校は、これまでになかったものだ。
理数系に躍進、今後の目標は更に倍増
今春の大学合格実績では、東京外国語大・東京学芸大など国公立21人、早慶上理ICU41人、GMARCH126人、日東駒専218人、東洋大129人など、9割を超える生徒が現役で進学を果たした。
大学の入試改革の最中(さなか)だが、実績に揺るぎはない。特に東京理科大、芝浦工大、東京電気大など、理数系への伸びが顕著になっている。しかし学校が掲げる目標はさらに高く、国公立40人、最難関私大80人などを目指している。
学則定員の7割の生徒が系列の東洋大学へ進学可能だが、目標はあくまでも国公立大学や難関私立大学への進学である。 (PR)