
新年度が始まり、新3年生は高校受験に向けた準備が本格化します。日々の学習と並行して志望校選びも進めていきましょう。
好きなことや興味があることを起点に、どんな高校生活を過ごしたいかを考えながら各学校を比較してみることは、自分に合った高校に出会う確率を高めてくれるだけでなく、勉強を頑張るモチベーションにもつながります。もちろん1・2年生にとっても、早くから将来を考え始めることのメリットは大きいです。
高校には大きく分けて私立と公立があり、各校に独自の校風や特色があります。
私立高は公立高に比べ、より大きな教育の自由が認められており、「建学の精神」「校訓」「教育理念」などに基づいた特色ある学校づくりに取り組んでいます。
学校ごとの個性が際立っており、それぞれの学校に独自の強みがある私立高の幅広い魅力を見ていきましょう。
私立高の強みとしてまず挙げられるのが、大学受験に向けたサポートが充実していることです。学校全体で手厚い学習支援体制が整備されており、大学進学の準備を校内で完結できる学校も数多く見られます。
2025年3月に県内の私立高を卒業した人のうち、現役で大学に進学した人の割合は83.3%に上ります。これは公立高の59.5%と比べ、20ポイント以上高い数値です。
私立高には大学進学を目指す生徒が数多く集まっており、各校が日々の授業の理解度を深める弱点補強や、受験直前期の高レベル指導などに力を入れています。
早朝や放課後の特別講座や、夏期講習・冬期講習・勉強合宿といった集中講座を開催する学校も多く、学習環境の充実度は公立高と比べても非常に高いといえます。
近年の大学入試では、単に知識を問う問題だけでなく、思考力や情報処理能力を問う出題が増えています。また、国公立大学だけでなく難関私立大学でも、記述式問題を課されるのが一般的になりました。
こうした問題に対応するためには確かな基礎力を土台として応用力を養っていくことが必要で、そのための指導は学習支援が充実した私立高の得意分野といえます。
進学実績が安定している点も私立高の大きな魅力です。
県内高校の難関大学への合格者数を10年前と今年で比較した下の表を見ると、私立高の合格者数は「旧7帝大(北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州)」が10年前とほぼ同数、「GMARCH」は16%も増加しています。
「早慶」の減少は、この10年で早稲田大が段階的に定員を縮小してきたのが大きな理由で、公立校も同様に合格者数を減らしています。
東大・京大と並ぶ難関の「国公立大の医学部医学科」は8人増で、10年前から15%の増加です。
私立高の卒業者数は公立高の約半数です。卒業者数に対する難関大学の合格割合は、国立大学では両者に大きな差はありませんが、私立大学については私立高が公立高を上回っています。
私立高の持つ大学進学への優位性は、こうしたデータにも表れています。
参考までに、今年の合格者数上位の学校も紹介しましょう。
「東大+京大」の県内1位は46人が合格した県立浦和で、2位は14人の栄東。3位は開智と大宮が13人で並び、9人の県立川越が続きます。
トップ5には私立高が2校、公立高が3校ランクインしました。
「旧7帝大」のトップ5は、県立浦和(111人)、県立川越(53人)、大宮(47人)、栄東(45人)、浦和第一女子(34人)。
「早慶」は、栄東(272人)、県立浦和(179人)、開智(144人)、大宮(134人)、大宮開成(124人)。
「GMARCH」は、大宮開成(974人)、開智(573人)、大宮(504人)、栄東(489人)、市立浦和(467人)の順でした。

私立高の魅力は勉強だけにとどまりません。多種多様な部活動が用意され、運動や趣味に打ち込める学校、海外研修やフィールドワークなど校外での学びの機会を多数用意する学校、最新のICT環境を活用してオンラインでのグローバルな交流を積極的に行っている学校など、それぞれの私立高が独自の強みを持っています。
施設・設備面の質の高さも特徴で、各校が高校生活を快適に過ごすための空間作りに取り組んでいます。広い校庭や夜間照明といった恵まれた運動環境を持つ学校が見られる一方で、蔵書が豊富な図書室、十分な数の自習スペース、少人数授業のための特別教室など、学習環境の向上に力を入れている学校もあります。自分に合った学校を選択できれば、やりたいことを楽しく追求できる3年間が待っています。
アクティブ・ラーニングを取り入れた授業やグローバル教育など、思考力、問題解決能力、プレゼンテーション力、海外の人と協働する力などを身につけるための機会も豊富に用意されている私立高には、多様な経験を積めるチャンスがあります。
大学入試では探究活動や課外活動といった高校時代の教科学習以外の取り組みや、大学入学後の学びへの意欲を評価の対象とする「総合型選抜」「学校推薦型選抜」といった「年内入試」の拡大が続いており、こうした入試への対応力の高さも私立高の強みです。
これから夏休みにかけて、各高校の学校説明会や複数の学校が参加する合同説明会が数多く開催されます。さまざまなイベントも活用しながら情報を集め、通ってみたいと思える学校を探しましょう。
2026年度からは私立高を含め、すべての高校の授業料が実質無償化されました。経済的にも私立高は選択しやすくなっています。
自分がどんな高校生活を過ごしたいのかを軸に、内申点や偏差値、自宅からの距離などを総合的に考えながら志望校選びに取り組んでみてください。
(㈱大学通信情報編集部 松平信恭先生)