東京都教育庁は、令和2年度入試の都立高校の募集定員を発表した。
来春の公立中学校卒業予定者は、1,170人余り減少する。これに伴って、都立高校の募集人員は、全日制32学級1,225人、減少した。
2年度では、改革推進計画に基づき、荒川商業と五日市の商業科が募集停止となる。荒川商業は、4年に足立地区チャレンジスクールに生まれ変わり、五日市は、全日制・定時制とも普通科になって、新しい教育課程に挑戦する。
都内公立中学校の3年生の在籍は、5月1日現在の学校基本調査で、7万6989人となっており、前年より1,170人減少している。
これに伴って、都立高校の全日制の令和2年度募集人員は、171校で4万470人と前年より32学級1,225人減少した。
高校ごとでは八潮、竹早、東大和など26校で1クラスの学級減となる。また、都立高校改革推進計画により、荒川商業と五日市の商業科が募集停止となり、五日市は、2クラス普通科が増加する。
減は28校に及ぶ。定員の減少は、各校の入試倍率を上昇させるだけでなく、競合する学校の受験動向にも影響する場合が多いようだ。
なお、定時制課程では、橘・産業科が1学級減となり、学年制36校、募集人員1,440人で1学級30人の減、単位制の募集定員(4月入学)は、前年と同じだった。
今春の推薦入試では、全体で2・61倍、同普通科では2・89倍、第一次・分割前期募集(以下一般入試)倍率では、全体で1・35倍、同普通科では1・40倍と、30年度入試と比較すると、やや倍率は下がったものの、いずれも高倍率が続いていた。
特に、普通科の推薦入試では、平均2・9倍、学校によっては、5倍を超えるところもあった。
また、例年、中学3年生の在籍の増減に対して、募集人員の増減が実施されるため、入試全体としては、極端な倍率の変化はない。2年度入試でも、前年に続き、高倍率の学校が多くなると見られる。
倍率がやや低下した理由は、都の私学入学者への助成金の拡大や、大学入試改革の2期生の入試だったことが挙げられる。私学の大学付属校の人気が高かったようだ
12月上旬に、中学校で、都立高校への希望状況の調査が実施される。
この時期では、調査書が、ほぼ決定していることや、私立高校の推薦や併願優遇などの制度の利用も、学校を通じて確定しているため、ほとんどの受験生の第一志望校は,固まっているようだ。
結果は、1月上旬に新聞発表されるため、受験生の動向を知るための、精度の高い資料として注目される。
公立の具体的な学校の決定は、出願の日程から、この資料を見てから決めることもできそうだ。
28年2月に発表された「都立高校改革推進計画・新実施計画」では、
① 国際色豊かな学校の充実。
② 専門高校の改善。
③ 定時制・通信制課程の改善。
等の目標に向かって、統合再編が実行される。
2年度では、募集に変更はないが、全日制課程では、前年に募集停止となった赤羽商業のほかに、荒川商業は4年度に足立地区チャレンジスクールに再編される。また、立川国際は、4年度に中等教育学校に転換される。
五日市は、商業科を停止し、普通科のみの高校に再編。中野工業は、エンカレッジスクールに指定される。
などの具体的な再編計画が発表されている。
また、グローバル人材の育成やタブレット等を利用したICT教育、アクティブラーニングの研究等の推進も同改革計画に盛り込まれている。
26年度に、都立高校の進学者への「無償化」と私立高校に対する「就学支援金」が改訂された。また、28年度から都内の私立高校へ通う生徒への「授業料軽減補助」が大幅に見直され、今春では、さらに支援金が増額された。
都立高校無償化については、世帯年収がおよそ910万円という限度額が設けられ、それ以上では、授業料が発生する。
私立高校の生徒については、限度額は同じだが、約760万円までは、これまでと同額の11万8800円。それ未満では国の支援金と併せ45万6千円が授業料負担として軽減される。(世帯年収は目安。住民税により決定。公・私立とも都外進学者も対象)となる。
軽減内容についての詳細は、各私立高校に問い合わせてほしい。
私学は(授業料等が)高いというこれまでの常識が大きく変わっている。
都内私学の平均の授業料は45万円程度といわれる。その他に入学金や施設費などが必要となる。国と都からの授業料助成の内容や、各学校の学費を改めて研究してほしい。
これまでより学費にこだわらない学校選択ができるようになってきていることに気づくはずだ。
悔いの残らない志望校選択がなにより重要だ。