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2023.11.9

〈2024年度入試〉東京都 都立高「都立入試問題 その傾向と対策は?」-令和6年度

これからの勉強を効率的に行っていくために、過去の入試問題の特徴をつかんでおきましょう。
今回は、前年度(令和5年度)の都立高入試問題をふり返りながら、傾向と対策を考えてみることにします。

【全体傾向】
出題形式・内容など大きな変化なし

まず各教科の平均点を見ておきます。(カッコ内は令和4年度)
国語 80・8(68・8)
数学 57・6(59・0)
英語 62・8(61・1)
社会 55・6(49・2)
理科 59・4(61・4)

・国語・英語・社会が上がり、数学・理科は下がりました。
・国語は12点上がり令和2年度以来の80点台となりました。
・数学はここ3年間50点台で比較的安定しています。
・英語はほぼ前年並みです。
・社会は6・4点上がり、令和3年度並みとなりました。
・理科は2点下がりました。
・3年度は理科、4年度は社会が40点台でしたが、5年度は40点台の教科はありませんでした。

【国語】
筆者の主張を正確に読み取る力

平均点は大幅に上がり、受検者のおよそ半分が85点以上をとりました。
大問1は漢字の「読み」、大問2は漢字の「書き」に関する問題で、それぞれ5問ずつ。配点は計20点です。全体としてはよく出来ていましたが、「河畔」「狩猟」の読みはおよそ半数が間違えました。
大問3は文学的文章の読解です。
設問を見ると、「この表現から読み取れる『私』の様子として最も適切なのは」「このときの『私』の気持ちに最も近いのは」といった形で、登場人物の心の変化や、それによる態度や行動の変化に着目したものが中心となっています。
設問のパターンは毎年ほぼ同じですから、これらに注意しながら問題文を読む練習をしておきましょう。
大問4は説明的文章の読解です。
「情報とウェルビーイング」という哲学者の文章が使われました。大人向けの文章なので普段皆さんが目にしないような言葉がたくさん出てきます。そんな中で、内容や筆者の主張を正確に読み取ることや、段落の役割をとらえることなどが求められます。練習問題を数多くこなし、こうした文章に慣れることが重要です。
大問4の問5では、200字以内の作文が課せられています。配点は10点と高めになっていますが、部分正答も含む正答率は81・9と比較的高いので恐れる必要はないでしょう。「具体的な体験や見聞も含めて」といった条件つきなので、そこをはずさないことがポイントです。

【数学】
数理的に考え、的確に表現する力が必要

平均点は前年度より1・4点下がりました。
大問1は9問で構成されており、配点は計46点と全体の半分近くを占めています。
大問1は問6までが計算問題です。
問1 数の計算
問2 式の計算
問3 平方根を含む計算
問4 一次方程式
問5 連立方程式
問6 二次方程式

このパターンは毎年同じです。問9(作図問題)の出来があまり良くありませんでした。
大問2は図形を題材とし、数理的に考察し推論の過程を的確に表現する 問題でした。
(2)の証明問題は部分正答を含む正答率が21・9%であり、無答率も55・3%に達していました。まったく手が付けられなかった人が多かったということです。分かったことを正確かつ分かりやすく説明(表現)する力を求められているので、数多くの問題に触れ、練習しておきましょう。
大問3から大問5は次のような問題構成となっています。
大問3 関数(一次関数)
大問4 平面図形(台形)
大問5 空間図形(正四面体)
このうち大問4の問2②は正答率1・7%、大問5の問2は正答率3・2%と、かなりの難問でした。
全体として見た場合、大問1と、大問2以降との正答率の差が極端に大きくなっています。
大問1を全問正解したとしても平均点には到達しないので、大問2以降の問題でどれだけ得点できるかが合否を分けるカギとなります。
後半問題の出来が悪いのは、分からないというだけでなく時間不足も原因としてあげられるでしょう。時間配分を意識した練習もしておきましょう。

【英語】
長文読解、読み方のコツをつかむ必要

平均点は前年より1・7点上がりました。80点以上の人が30%いました。
大問1はリスニング問題で、配点は20点です。
難しい表現や単語などは少なく、全体としてはよく出来ていました。ただし、英語で答える問題(記述問題)の出来が極端に悪くなっています。聞き取りだけでなく英語で表現する力も求められているので練習が必要です。
大問2はやや短めの英文や会話文による総合問題です。
例年ウェブサイト・Eメールなどが資料として用いられます。配点が12点と高い英作文は、部分正答も含めた正答率が56・9%でした。3つの英文を書く問題ですが、語数についての指定は特にありません。何について書けばいいか(主題)を正しくつかめなかった人もいるようです。作文力だけでなく読解力も求められます。
大問3、大問4はともに長文読解問題で、大問3が対話文、大問4が物語文です。
全文を一字一句細かく日本語訳していく必要はありません。また、その時間もありません。
対話文においては、対話の流れを正確に理解することがもっとも重要です。物語文においては、あらすじを読み取ると同時に、登場人物の心情を把握することも重要です。これらの注意点は、国語の長文問題にも共通します。
長文読解は問題演習が不足しがちなので、意識して練習量を増やしましょう。

【社会】
多面的・多角的にものごとをとらえる力

平均点は6・6点上がりました。年度による変化がやや大きい教科です。
小問数は20題で、このうち2題が記述式解答で、他は記号選択式です。配点はすべて5点です。
問題の構成は次のとおりです。
大問1 三分野総合
大問2 地理(世界)
大問3 地理(日本)
大問4 歴史
大問5 公民
大問6 三分野総合

大問1は基本的知識を問う問題で、よく出来ていました。
大問2は商業を題材としながら都市の様子や気候、日本との関わりなどを問う問題でした。地図や統計資料を正確に読み取り、考察する力が求められます。
大問3ではモーダルシフト推進の目的と貨物路線の敷設状況について記述する問題が出ましたが、比較的よく書けていたようです(部分点含む正答率71・1%)。資料やグラフが読み取れれば、それほど難しくありません。
大問4では、特に問3の年代並べ替えを含む問題の出来が悪く、正答率は16・8%でした。
並べ替え問題は毎年受験生が苦戦しています。用語や人名等の暗記に頼らず、歴史的事象について原因や結果などを理解するようにしましょう。
大問5の公民分野では、問4の取締役会に関する記述問題の出来が悪く、正答率は47・5%でした。
大問6は全体正答率が26・9%でした。
この問題に限らず、資料などを元にものごとを多面的・多角的に見る力が試されるのが近年の特徴です。

【理科】
科学的な思考力・判断力が求められる

平均点は前年より2点下がりました。
小問は25題あり、配点はすべて4点です。このうち1題が記述で、それ以外は記号選択式問題でした。
大問1は各分野からの小問で構成され、基礎的・基本的な知識・技能を問う問題です。
大問2も複数の領域にまたがる基礎的・基本的問題ですが、科学的な思考力や判断力も求められます。
前半の問題は比較的点数が取りやすいので、ここまでで確実に点数を積み上げておくことが重要です。教科書を見直し、基礎・基本的知識の定着を図りましょう。

大問3以降は次のような構成になっています。
大問3 地学(16点)
大問4 生物(12点)
大問5 化学(16点)
大問6 物理(16点)
理科は、どの単元が出題されるかにより出来が左右されます。5年度は大問3の地学分野と、大問5の化学分野の出来があまり良くありませんでした。
大問3「地学」の問1は唯一の記述問題でしたが、部分正答も含めた正答率は29%でした。
実験の目的について正確に理解できていないことと、簡潔に説明する力(表現力)が不足していたためと考えられます。
全体的に言えることですが、複数の現象などを結び付けて考察する力が求められています。

■参考:過去問題は、数年分遡っていくと問題傾向がより分かりやすくなります。1年分だけでなくさらに前年度へ、比較分析していくことをお勧めします。

<前々年度分析(2022年度/令和4年度入試):よみうり進学メディア>
・〈2023年度入試〉東京都 都立高「必見!! 都立入試問題その傾向と対策は?」-令和5年度

<前々々年度分析(2021年度/令和3年度入試):よみうり進学メディア>
〈2022年度入試〉都立高校「必見!! 都立入試問題その傾向と対策は?【①全体傾向】-前年度入試から探る」
〈2022年度入試〉「必見!! 都立入試問題その傾向と対策は?【②国語】」
〈2022年度入試〉「必見!! 都立入試問題その傾向と対策は?【③数学】」
〈2022年度入試〉「必見!! 都立入試問題その傾向と対策は?【④英語】」
〈2022年度入試〉「必見!! 都立入試問題その傾向と対策は?【⑤理科】」
〈2022年度入試〉「必見!! 都立入試問題その傾向と対策は?【⑥社会】」

(よみうり進学メディア編集部)

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