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入試情報
2023.12.1

〈2024年度入試〉受験生の疑問に答えるQ&A 「本当に受かるのか不安な気持ちになります」ほか-令和6年度

Q1 本当に受かるのか漠然(ばくぜん)と不安になったり、これ以上勉強しても無駄なんじゃないかと思ったりすることが増えました。メンタルケアのいい方法はありますか?

A
気休めかもしれませんが、不安の9割は実際には起こらないという説があります。たしかに、不安に感じたことすべてが実際に起きてしまったら、自分は存在していないかもしれませんね。

では、なぜ不安は的中しないのでしょうか。人は不安を感じるとそれを回避するための行動に出たり、あらかじめそれに対する備えをしたりするからです。つまり、不安という感情は人間にとって時にプラスに作用するのです。
受験に対して何の不安もないと自信満々の人が落ちてしまうことがありますが、安心し過ぎて備えを怠るからでしょう。
ですから、不安を一掃しようなどと思わないほうがいいです。心のどこかに不安があったほうが、きっと上手く行きます。

ただし、不安の正体を突き止めましょう。あなた自身「漠然」という言葉を使っていますが、問題の根っこは正にそこです。正体不明だから不安が増すのです。正体不明だから対策が立てられないのです。

今回の場合、不安をもたらす元は入試です。では、そのどこが不安なのですか。倍率が高いことですか、合格最低点が高いことですが、自分の成績に波があることですか。徹底的に調べ、考えて、そこを明らかにしましょう。原因が分かれば対策は必ずあるものです。

「杞憂(きゆう)」という言葉を聞いたことがありますか。知らなかったら調べてみてください。人はえてして、心配する必要のないことを心配するらしいです。

Q2 今のこの時期から死ぬ気で頑張って偏差値50から59までって上がりますか?

A
偏差値を約10くらい上げるのは、入試本番までの残り日数を考えると、残念ながら非常に厳しいと言わざるを得ません。

が、もっと残念なのは「死ぬ気で頑張る」という考え方、あるいは言い方です。
「死ぬ気で頑張る」とか「命がけで頑張る」とか威勢のいいことを言いながら目標を達成した人を私は知りません。
もちろん、全てが終わり、目標を達成した後に、「あの時は死ぬ気で頑張ったからな」と振り返るのはいいでしょう。しかし、これから何事かに挑もうとする人が、「死ぬ気」とか「命がけ」といった、どうとでも取れるような曖昧な表現を使ってはいけません。

もっと目標を具体化しましょう。数値化できるものはすべて数値化しましょう。

目標を具体化、数値化すると、結果を評価しやすくなります。
たとえば「1日8時間勉強する」と決めたとします。もし、5時間しかできなかったとしたら、圧倒的に努力が不足していたか、目標が高過ぎたかのどちらかです。
たぶん、目標の高過ぎですね。なにせ「死ぬ気で頑張った」のですから、それで出来ないとしたら、目標の置き方に原因があります。次からは「1日6時間」くらいに下げて再チャレンジしましょう。
逆に8時間やって精神的にも体力的にも余裕を感じとしたら、目標が低すぎた可能性があります。次は10時間くらいにしたほうがいいでしょう。

この例のように具体化、数値化すると、自分の行動を客観的に評価することができ、次につながりやすくなります。

Q3 中3受験生です。自己PRがどうしても書けません。自分のいいところなんて見つけられないです。特技も無いと思います。どうしたらいいですか?アドバイスください。

A
あなたには良いところがあります。会ったことはなくても、すぐ分かります。
「えっ、何でそんなこと分かるの?」と思うでしょう。では、説明します。

あなたは自分の悩みを誰かに相談してみようと思いました。そして、その方法を考えた末に、このコーナーに投稿(質問)してみようと思い、実行しました。
この積極性、実行力は誰もが持ち合わせているものではありません。あなたの長所です。

「自己PRがどうしても書けません」とありますが、書けない理由はPRすべき中身が無いからではありません。

よく言われることですが、長所と短所はカードの裏表のようなものです。たとえば「臆病」は短所と見られがちですが、カードの裏側には「慎重」と書いてあるのです。
自分の長所が見つからないという人は、カードの一面だけを見ているのです。ひっくり返して裏面を見てみましょう。

長所ばかりの人とか、逆に短所ばかりの人などいません。長所も行き過ぎれば短所になるかもしれないし、短所も見方を変えれば長所になるのです。

「角を矯めて牛を殺す」(つのをためてうしをころす)という言葉があります。
短所を無理に直そうとして全体をダメにしてしまうことですが、あなたはものごとを突き詰めて考えたり、悲観的に考えたりする性格なのかもしれませんが、仮にそれが短所だとしても、とりあえずそれには目をつぶったらどうですか。

あとは、お父さんお母さんとか御祖父さん御祖母さんなど身内の方に聞いてみることですね。長所は数えきれないほど出てきますよ。

Q4 11月に入って周囲も志望校が決まりだしてきています。でも私はまだどこの高校を受けるか決めかねています。高校選びは将来を考える上でとても大切な選択だと思います。それだけに迷っています。

A
悩むのは悪いことではないし、迷うのは当然です。ですので、いまだに決めかねている自分を責めることはやめましょう。

決断は一瞬です。おそらく、その時は1か月先か2か月先になるでしょう。つまり願書を提出する少し前ということですね。
それまでは、今日決めよう明日決めようと、決めることばかりを考えないことです。つまり、決断をする日だけ決めておいて、それまでは「決めよう」とか「決めなければ」と思わなくていいということです。

他の人が、いつ決めようがどこに決めようが、そんなことは関係ありません。あなた自身も言われているように「将来を考える上でとても大切な選択」なのですから、決断を下さなければならないその時まで、とことん悩んだり迷ったりすればいいと思います。

ただし、時期が時期ですから、候補を少しずつ絞っていくという作業は必要でしょう。そのために説明会や相談会にはできるだけ参加するようにしましょう。そして、その際は自分の感覚を信じましょう。理屈よりも感覚です。
「なぜ、この学校」という問いに理路整然と答えられることは大事なことですが、「何となくいいな」「何かピンと来ないな」という直感を馬鹿にしてはいけません。そこには何かしら原因があるのです。それを突き詰めて考え、言語化すれば(言葉にすれば)、それがあなたの本当の志望理由ということになるのです。

Q5 私立の高校を一般入試で受験しようと思っているのですが、欠席日数は合否にどれくらい影響がありますか?体調を崩すことが多く、かなり欠席してしまったので受験が心配です。

A
入試の制度・仕組みは都県ごとに異なります。私立の場合であれば学校ごとに違います。ですから欠席日数が合否にどれくらい影響するかは一概には言えません。
学校によっては出願条件に「欠席〇日以内」と明記している場合もあります。ただ、近年は、全体的に欠席に関して寛容になりつつあります。

それよりも、心配なのは「体調を崩すことが多く」という点ですね。原因が身体的なものなのか精神的なものなのか分かりませんが、何とか無事に受験を乗り切ってもらいたいと思います。

ある学校で、推薦入試と一般入試というふたつの受験パターンがあった場合、一般入試の方は当日の学力試験を重視する傾向が強いようです。調査書(内申書)を全く見ないわけではありませんが学力試験の重みは増します、ですから、学力試験で高得点を取れるように頑張りましょう。これは想像の域を出ませんが、高得点を取った受験生を、欠席日数を理由に落とす学校はないと思います。

それと、仮に欠席日数がある程度影響を持つとしても、これはもう数字として確定してしまっているので今さら変えようがありません。後ろを振り返るのではなく前を見ましょう。高校に入り環境が変われば、あなたの体調もきっと良い方向に進むでしょう。

(回答者 教育ジャーナリスト)

 

■編集部補足:
この時期「偏差値をあげたい」という質問が毎年多数寄せられます。
「偏差値について」「偏差値をあげるには」関連ページもご一読ください。
模試の結果『第一志望校の判定はC』合格できますか?-模試判定は勉強に生かそう!
「偏差値ってなに?」志望校選びに生かす偏差値 その1
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