
栄北高校硬式野球部を訪ねました。
今夏の全国高校野球選手権埼玉大会では、1回戦で庄和高校、2回戦で寄居城北高校にいずれもコールド勝ち。
ベスト32入りをかけた3回戦では正智深谷高校に5回コールドで敗れましたが、わずか11人でスタートしたチームが2勝を挙げました。
人数が少ない中でも試合を成立させ、堂々と戦い抜いた姿は、来年以降につながる大きな一歩となりました。
■全国で活躍する部活動も
栄北高校は、埼玉栄・栄東・花咲徳栄と同じ佐藤栄学園に属する学校です。系列校の花咲徳栄高校野球部は今夏の埼玉大会を制しました。また、栄北高校でもエア・ライフル部、自転車競技部、ダンス部などが全国大会に出場しています。
大学進学に向けた学習指導に力を入れる一方、部活動や学校行事にも打ち込む。栄北高校が目指しているのは、高いレベルでの文武両道です。
近年は進学実績が伸び、学習面の印象が強くなっていますが、学校では改めて部活動を活性化し、校内にさらに活気を生み出そうとしています。
■日々の練習は専用球場で

野球部の活動拠点は、学校からニューシャトルで一駅の場所にある「栄北ベースボールスタジアム」です。授業後、選手たちは電車や自転車で移動し、練習に入ります。
球場は外野が深く、左右中間も大きく膨らんでいます。ファウルグラウンドも非常に広く、高校生の練習環境としては申し分ありません。大人数の部では練習場所やメニューが分かれ、全員が同じ練習をできないこともありますが、栄北では全員がこの専用球場を使い、日々の練習から試合まで十分な機会を得られます。
■11人で乗り切った夏
現在の部員は2年生7人、1年生13人の計20人です。新入生が加わり、ようやく人数が増えてきましたが、今夏の大会に臨んだ3年生中心のチームはわずか11人でした。
けが人が出れば試合出場さえ難しくなるため、昨夏は練習試合をすべて取りやめました。日々の練習も、まず選手を故障させないことから考えなければなりませんでした。春には主力選手がけがをし、10人で大会に出場したこともありました。
それでも夏は2試合を勝ち上がりました。監督の佐久間信考先生は「最後は力負けでしたが、少ない人数でよくやりました。高野連の方からも、選手たちがテキパキ動いて試合をつくっていると褒めていただきました」と振り返ります。
試合に出る選手だけでなく、全員が自分の役割を理解して動く。それが栄北の「全員野球」です。
■野球以前に大切なこと
佐久間先生は、東東京の名門・修徳高校から東洋大学へ進み、社会人野球の新日本製鉄君津でプレーしました。その後、栄北高校の監督(授業は社会科担当)に就任して21年目を迎えています。
現在は部長の五十嵐眞石先生(数学科)、コーチの酒井智道先生(保健体育科・同校OB)とともに3人体制で指導しています。
指導の柱は「凡事徹底」です。挨拶や返事といった当たり前のことをきちんと行い、簡単に諦めず、考えながら努力を続ける。監督自身の社会人経験からも、野球で培った対人関係や粘り強さは、社会に出てから大きな力になると考えています。
入部時点では十分な体力がない選手も少なくありません。そのため、いきなり厳しい練習を課すのではなく、食事も含めて練習に耐えられる体をつくるところから始めます。選手の現状に合わせ、一歩ずつ成長させていく指導です。
■全員に活躍のチャンス

主将のIくん(2年・さいたま市立植竹中出身)は、小学2年生から野球を始め、中学校では軟式野球部でライトを守っていました。高校でも野球を続けようと考え、人数が少なく、自分の努力次第で試合に出られる可能性がある栄北を選びました。
実際、現在はほぼ全員がベンチ入りでき、練習でも試合でも一人ひとりに役割があります。「先輩後輩の仲が良く、話しやすい。野球がしやすい雰囲気がずっとあります」とIくん。部活動後は帰宅して勉強し、大学進学を目指しています。
佐久間先生は、「人数が手頃なので、入ってきた選手全員に同じ条件で活躍の場があります。3年間、日々の練習から試合まで、みんなが主役になれます」と中学生に呼びかけます。
今夏は3回戦で止まりましたが、新チームはまずその壁を越え、県ベスト16を目指します。
勉強も野球も頑張りたい。そして、自分自身がチームの中心になって成長したい。そんな中学生にとって、栄北高校硬式野球部は魅力ある選択肢となりそうです。

(よみうり進学メディア編集部)
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