大宮北高校は普通科と理数科を設置する、さいたま市立の進学校です。
今春の大学入試では、国公立大学に現役28名、既卒を含め37名が合格しました。早慶上理・GMARCHには101名が合格しています。前年には国公立大学合格者54名という過去最多の実績も残しています。
ただし、学校では単年度の数字だけに一喜一憂するのではなく、ここ10年ほどで国公立大学を志望する生徒、実際に進学する生徒が着実に増えてきたことを重視しています。
進学実績は結果ですが、その背景には、授業、探究、進路指導、理数教育など、学校全体で積み重ねてきた取り組みがあります。

◆学校全体で支える進路指導
大宮北高校では、3年間を見通した進路指導を学校全体で進めています。
大学入試は、従来の一般選抜や指定校推薦に加え、総合型選抜、学校推薦型選抜など、さまざまな方式が利用される時代になりました。
こうした変化に対応するためには、ひとつの入試方式だけを前提にするのではなく、生徒の希望や適性に応じて複数の可能性を示すことが重要です。
同校では、これまで積み重ねてきた一般選抜への指導を大切にしながら、年内に実施される入試にも積極的に対応しています。
共通テストから国公立大学の二次試験、あるいは私立大学一般選抜へ進むルートは今も重要です。その一方で、志望大学が総合型選抜や学校推薦型選抜を実施しているのであれば、それも生徒にとっては大切な機会になります。
◆年内入試を「ファーストチャレンジ」に
学校では、年内入試を「ファーストチャレンジ」と捉えています。
模試の判定だけを見て「自分には無理」と最初から諦める必要はありません。
総合型選抜などでは、学力だけではなく、高校時代に何を学び、何に取り組み、大学で何を学びたいのかという志望理由や意欲も重視されます。
一度挑戦して結果が出なかったとしても、その後には一般選抜があります。
学校では「入口がひとつ増えた」と考え、生徒の可能性をできるだけ広げようとしています。指定校推薦についても、単に「早く進路を決める」ために使うのではなく、本人の志望との一致を重視しています。
大学入試の多様化を負担の増加と見るのではなく、挑戦の機会が増えたと捉える。この考え方が、現在の大宮北高校の進路指導のひとつの特徴です。

◆探究で培った力を進路実現へ
こうした大学入試の変化と相性が良いのが、大宮北高校が長年取り組んできた探究活動です。
同校はSSH指定校であり、さいたま市が推進するSTEAMS教育にも力を入れています。
学校設定科目「STEAMSTime」では、1年生で探究の基礎を学び、2年生になると個人または少人数でテーマを設定し、1年間かけて研究を進めます。全員が校内で成果を発表し、その中から選ばれた生徒は、レイボックホールの大ホールで大学や企業関係者らを前に発表します。
ここで身につくのは、知識だけではありません。
自分で問いを立てる力、情報を集める力、考察する力、人に分かるように説明する力、そして質問に答える力です。
これらは総合型選抜や学校推薦型選抜でも生かすことのできる力です。
これまでも探究活動と進路指導を結びつけてきましたが、今後はそのつながりをさらに強め、探究で得た経験や成果を大学入試でもより生かせるようにしていきます。
学力を高めるだけでなく、自分の志や思いを言葉にして相手へ伝える力を育てることも、大切な進路指導の一部になっています。
◆理数科の存在が学校全体を押し上げる
大宮北高校には理数科があります。
国公立大学合格者が過去最多となった年度では、約6割を理系の生徒が占めました。理数科の生徒が国公立大学を目指す姿は、普通科理系の生徒にも刺激となり、国公立大学を視野に入れる文化が学校全体に広がっています。
また、理数科設置などに伴い、同校には通常の普通科高校より8名多い教員が配置されています。この手厚い教員配置があるからこそ、3年生では私立文系、国立文系、国立理系など、進路に応じた細かな教育課程を組むことができます。
「理数科がある学校」というだけでなく、その教育環境や教員配置が普通科を含めた学校全体の進路支援にも生かされている点が特徴です。
◆補習も学校生活との両立を考えて
学力向上策についても、一律に補習時間を増やせばよいとは考えていません。
以前は1・2年生にも平日の放課後補習を行っていましたが、大宮北高校は部活動加入率が9割近く、補習との両立が難しいという課題がありました。そこで現在は、1・2年生の進学向け補習は長期休業中に集中的に行っています。
学期中は通常授業と予習・復習、そして部活動にしっかり取り組み、必要なプラスアルファの学習を長期休業中に行うという考え方です。
学習だけでなく、高校生活全体を見ながら時間を組み立てています。

◆SSHの学びは普通科にも
SSHというと、理数科だけの取り組みと思われがちですが、大宮北高校では学校全体で取り組んでいます。
普通科の生徒も、SSHのプログラムや探究活動に参加できます。
海外研修では、韓国、ハワイ、インド、インドネシアなどで、科学や社会課題をテーマに学びます。ハワイでは火山や自然科学、インドでは現地高校との共同活動、インドネシアでは水に関する研究など、いずれも明確な学習テーマを持った研修です。
こうした経験も、生徒が自分の興味や関心を知り、将来の学問分野や進路を考える材料になります。
◆これまでの学びを、次の進路へ
大宮北高校の進路指導は、これまで築いてきたものを大きく変えるというより、その蓄積を大学入試の変化に合わせて、より広く生かそうとするものです。
5教科の学力を高める授業がある。
理数科やSSHによる専門的な学びがある。
STEAMSTimeによる探究がある。
ICTを活用した学習環境がある。
そして、大学入試にも一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜など、さまざまな入口があります。
高校3年間で身につけた力を、どの入口なら最も生かせるのか。
その選択を、生徒一人ひとりと一緒に考え、学校全体で支えていく。
大学入試の多様化を、生徒の可能性を広げるチャンスに変える。そこに、大宮北高校の進路指導の現在が表れています。

「小学生自由研究お助け隊」の様子
(よみうり進学メディア編集部)
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