計画を立て、悔いのない夏を過ごそう
説明会に参加して、志望校と巡り合おう
1学期も後半となり、受験生の夏がやってきた。
公立では、まもなく県のホームページで、学校説明会・体験入学・文化祭等の日程が発表される。私立は、私立中学高等学校協会のホームページで既に発表されている。
5類になったとはいえ新型コロナの感染予防から、相談会や学校説明会などは申し込み制や定員制になるなど制約は多いが、積極的に参加しておきたい。
部活の大会や体育祭、会場テスト、各種検定の資格挑戦など多忙な日々が続くが、いろいろな機会を活かして情報を集め、自分を伸ばしてくれる学校と巡り合ってほしい。
■公立高校の学校説明会等日程はこちら:よみうり進学メディア
〈2024年度入試〉埼玉県 公立高校「2023年7月~12月 学校説明会一覧(令和6年度入試向け)」
来春の公立・全日制の募集人員は800人減に
公立高校の募集人員が発表された。
現在の国・公・私立中学3年生は約62,000人、前年より790人余り減少となる(4年度学校基本調査より)。
数年前から公立高校志望者の割合が減少し、前年度では1,485人の欠員補充が出た。また、通信高校への志願者が増加しているため募集人員を絞る傾向があるようだ。
全日制の募集人員は4校5学級200人の増、2校80人の減。さらに統合再編2期の実施計画により6校が募集を停止し23学級920人の減。
全体では、20学級800人の定員減となる。
定員増となったのはいずれも普通科で、越谷東など4校、市立川口は附属中学からの内部進学者の増員となる。
定員減は、朝霞西と所沢西朝霞。
「魅力ある県立高校づくり」第2期計画では、令和8年に12校の統合再編が実施されるが、統合される6校の募集停止が先行実施される。なお第1期計画では、飯能と飯能南、児玉柏楊と児玉の統合再編が5年度に実施された。
募集人員の増減は該当する学校の倍率だけではなく、近隣の競合校の倍率にも影響する。
今後の志望動向に注意が必要だ。
◆令和6年度の全日制募集は4校増8校減に
募集を停止する学校
岩槻北陵、浦和工業、鳩山、皆野、八潮、和光
募集増 4校5学級
越谷東、鶴ヶ島清風、ふじみ野、川口市立(2学級)
募集減 2校2学級
朝霞西、所沢西
■公立高校募集人数について詳しくは:よみうり進学メディア
〈2024年入試〉埼玉県 公立高校「募集人員発表 合計800人減」-令和6年度
公立の出題の基本方針と入試選抜基準に注目
6月号WEB版で速報したように、令和6年度入試の「選択問題採用校」と「出題の基本方針」が既に発表されている。選択問題採用校は昨年の22校から変化はない。
選択問題採用校
浦和・浦和第一女子、浦和西、市立浦和、大宮、大宮北、川口北、川口市立、蕨、和光国際、川越、川越女子、川越南、所沢、所沢北、熊谷、熊谷女子、熊谷西、不動岡、越ケ谷、越谷北、春日部
■「選択問題採用校」と「出題の基本方針」について詳しくは:よみうり進学メディア
〈2024年度入試〉埼玉県 公立高校「学力検査問題の出題の基本方針」「学校選択問題実施校」を発表-令和6年度
出題の基本方針
入試問題は教科書の内容に沿った基礎的・基本的なものという方針に変化はない。
7月には、公立高校の入試要項と選抜要領、各校の選抜基準などが発表される予定だ。
気になる高校の教育内容や、部活の活動状況、選抜基準などを調べ、学力や評定などで目標値を設定し、それを目指して夏を過ごそう。
■各校の選抜基準が発表されました。詳しくは:よみうり進学メディア
〈2024年度入試〉埼玉県 公立高「各高校の選抜基準」を発表-令和6年度
既に、入試は開始されている
調査書には、中学校での3年間の成績(各教科の評定)、総合的な学習の記録や、選択教科の評定、生徒会や学級活動、部活動の実績、出欠の記録、その他‐英検や漢検の取得級位‐など中学校での活動が記載される。
公立高校の入試では、各学校が定める基準によって項目ごとに点数化される。この点数が学力検査に一定の比率で加算され、選抜に使用されることになる。
特に選抜で重視されるのが各教科の評定だ。学期ごとに学校から渡される通知表(※注)には学期ごとの成績と、評定の基になる観点別評価が記載されているが、調査書には3年間の総合成績が記載されることとなる。調査書の3年次は、3年生の4月から12月中旬までの成績ということになる。
調査書の評定については、12月中旬以降希望者は担任の先生から口頭で教えてもらえる。
また1月には、調査書と同一内容の「通知書」が発行され、志望校を決める際の参考にできるようになっている。
※注・学校によって名称が異なる場合がある。
調査書対策、ポイントを知り対策を立てよう
調査書の各教科の評定は、観点別評価を基にして決定される。6月号WEB版で説明したが、令和3年から新学習指導要領が施行され、同時に通知表の観点別評価も変化した。
「知識・理解」は定期テストが大きなウエイトを占めると考えられる。
「思考・判断・表現」は、日々の授業の中で問題意識を持って、自ら考え、判断し、発表することが必要となる。
「主体的に学習に取り組む態度」は、積極的に授業に臨むことや、宿題や課題の提出などが重要な評価の対象となる。
これから受験まで、定期テストだけではなく、日々の授業を真剣に、積極的に取り組む必要があるということだ。
また、今年度の受験生は、中学1年の時に新しい学習指導要領のもとで学び、新しい観点で3年間評価される、初めての学年にあたる。自ら考え、判断し、発表すること、主体的に学習に取り組むことは、今後、益々重要になる。
■文中にあるWeb版6月号はこちら:よみうり進学メディア
・〈2024年度入試〉埼玉入試情報「令和5年度入試の検証から6年度入試を探る」前編
・〈2024年度入試〉埼玉入試情報「令和5年度入試の検証から6年度入試を探る」後編
高校に、行って、見て、触れて、感じることから
夏は、受験生の活動時期だ。受験に必要な学力を付けること。志望校にめぐり合うことを心がけて欲しい。
これまでに県内・都内で私学の進学フェアが既に実施されているが、
7月には「彩の国進学フェア公立・私立(読売新聞埼玉支局主催)」、
7月から8月にかけては「埼玉私学フェア熊谷・川越・大宮(埼玉県私立中高協会主管)」 、
8月には「東京都私立学校展(東京都私立中学高等学校協会主催)」、
7月から10月にかけて「浦和・川口・越谷・春日部で入試ファースト(埼玉教育ネット主催)」
などが実施予定となっている。
予約制や入れ替え制などの制約はあるが、話を聞いてみたい学校を絞り、聞くポイントをまとめて参加してみよう。きっと有意義な1日が過ごせるはずだ。
公立も私立も、学校説明会や相談会、見学会、体験入学、部活体験など、受験生に学校を知らせる機会を各校で提供している。
インターネット等でいろいろな学校の企画を調べ、参加し、高校での生活に触れて、志望高校に出会ってほしい。
過去の入試問題を見て研究しよう
夏休み期間中に、過去の入試問題を見ておこう。解答の仕方や、記述問題の内容などを調べておくことも重要なポイントだ。
現時点では習っていないことも多いが、既に習った内容が各教科で出題されていることに気づくに違いない。
忘れていた1・2年生の学習内容から、復習のポイントを確認したり、出題の形式や各教科の文章題の量を見ることで、今後の勉強方法を考えることができる。
このためにも、できれば複数の年度の過去の問題を手に入れ、研究しておきたい。
学費を気にせず志望校を選択できる時代
国と県の私立高校生に対する学費助成制度が充実してきている。
国からの就学支援金は、家庭の年収の目安590万~910万円未満が年11万8800円、590万未満が39万6千円などとなる。
また埼玉県では、県内私学入学生に対して「父母負担軽減事業」という助成金制度がある。この助成金は国の支援金に加えて支給されるが、家庭の年収目安720万未満~590万は、国とあわせ授業料38万7千円、590万円未満~は39万6千円。さらに609万円未満は入学金支援10万円、年収500万未満には、加えて設備費等20万円が助成される。
詳細は、各私立高校または、県総務部学事課へ。
■私学支援金について詳しくは:よみうり進学メディア
特別寄稿「私立高合格を確保してから、公立高にチャレンジしよう」大学通信情報編集部 大野香代子先生
夏の計画は、志望校の選択と学力強化
夏の大会までで部活動を引退する人も多いと思う。そこからが本当の受験生だ。
公立も私立も皆さんを受け入れる準備を着々と進めている。
体調に留意して、自分なりの計画を立て、実行していってほしい。
実行できたなら、それが皆さんの今後への自信に変わっていくに違いない。
(岩佐教育研究所 岩佐桂一)
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