これからの勉強を効率的に行っていくために、過去の入試問題の傾向を知っておくことは重要です。
今回は、前年度(令和7年度)の公立入試問題(共通選抜)をふり返りながら、傾向と対策を考えてみることにします。
まず、各教科の大問数と小問数です。
国語 大問5小問30
数学 大問6小問24
英語 大問8小問27
社会 大問7小問34
理科 大問8小問34
数学で小問が1問減っていますが、それ以外は大問数、小問数共に増減はありませんでした。問題数が年度により大きく変わることはないと考えていいでしょう。
次に合格者平均点を見てみましょう。カッコ内は前々年度(令和6年度)の平均点です。なお、「追検査」を含む平均点です。
国語73.8(64.0)
数学51.3(55.6)
英語51.4(47.0)
社会57.9(54.8)
理科51.7(57.3)
平均点が上がったのは国語・英語・社会の3教科です。特に国語は約14点の上昇で、他教科が50点台で揃っている中、唯一の70点台となりました。
一方、数学は4・3点、理科は5・6点下がりました。
問一は漢字の「読み」などの小問で、配点は20点でした。
漢字の「読み」に関する問題は正答率がもっとも低かった「諮る(はかる)」でも78.2%に達しており、全体としてよく出来ていました。俳句の鑑賞の問題は正答率51.6%と振るいませんでした。俳句と短歌が交互に出題されていることから、8年度は短歌の出題が予想されます。
問二は文学的文章(小説)の読解でした。
小問が6問ありましたが、そのうち5問は正答率が85%を超えていました。ここでは主に登場人物の「心情(気持ち)」やその変化が問われます。そこに注意しながら読むことが大切です。朗読の仕方も例年どおり出題されました。
問三は説明的文章の読解でした。問二の文学的文章の読解に比べると全体的に正答率が低くなっています。抽象的な内容なので文意をいかに把握するかがカギになります。
問四の古典(古文)は4問中3問が正答率70%を超えており、前年よりは易しかったと言えます。古典は、問題文の要所にある現代語訳や登場人物間の敬語関係などから内容を読み取っていくことが必要です。
問五は2つの資料(文章)を読み取ったうえで答える問題で、(イ)は全問中唯一の記述問題でした。文字数の条件は「30字以上40字以内」と、前年よりやや増加しました。正答率は全問中最低の25.4%でした。時間不足で手が回らなかった人もいたようです。
問1は基本的な計算問題です。毎年決まったパターンの出題で、正答率も5問すべてが90%を超えています。
問2は因数分解や二次方程式の解を求める問題などで標準的な問題です。
配点は問1が15点、問2が24点で合計39点となります。全体の4割近くを占めますから、ここまでで着実に点数を積み重ねておきたいところです。また、後半の問題に余裕を持って臨めるよう、短時間で解けることを目指しましょう。
問3~問6はやや難易度の高い問題が含まれます。
7年度の出題内容は次のとおりです。
問3 平面図形・データの活用など
問4 関数
問5 確率
問6 空間図形
以上の構成は例年ほぼほぼ同じです。
問3では、(アⅱ)の三平方の定理や相似比などを用いて図形の面積を求める問題が難しく、正答率は僅か0.4%でした。
また、(ウ)の条件を満たす式と長方形の横の長さを選択する問題が正答率17.5%、(エ)の条件を満たす角度を求める平面図形の問題が正答率15.4%と非常に低くなっています。
3年生の後半に習う内容は問題練習が不足しがちなので、意識して増やすようにしましょう。(イ)のデータ活用の問題は、箱ひげ図についての理解が求められます。かなり長い会話文を読み、そこから条件を整理する作業が必要になります。類似の問題を多く解いて慣れておく必要があるでしょう。正答率は32.7%でした。
問4は関数の問題でした。
(ウ)の線分比などを用いて2つの図形の面積比を求める問題は、正答率4.0%ときわめて低くなっています。
問5は確率の問題で、例年どおり2つのサイコロの出た目の数を考える問題でしたが、小問の正答率は(ア)が51.5%、(イ)が23.5%と、いまひとつでした。問題文を素早く、かつ正確に読み取れるかどうかがポイントになります。
問6は空間図形の問題でした。
(ア)の三角柱の表面積を求める問題は正答率62.8%とまずまずでしたが、(イ)の2点間の距離を求める問題は3.6%と非常に低くなっています。最終問題にたどりつくまでに時間を費やしたため、じっくり考える時間がなかった人も多かったでしょう。
数学では数多くの問題を解くと同時に、さまざまなパターンの問題に取り組む必要があります。
問1はリスニングテストで配点は21点です。7つの小問の正答率は20%台から80%台まで広がっています。
問2は適語を選択し英文を完成させる問題でした。3つの小問はいずれも正答率50%台でした。
問3は適語を選択して対話を完成させる問題でしたが、複数の文法知識も求められ難易度の高い問題でした。
問4は対話の流れを理解して、単語を正しく並べ替える問題(整序問題)でした。不要な単語が一語混ざっているので、その分やや難易度が高くなっています。
問5は唯一の記述問題です。3枚の絵と文章が示され、それをもとに場面にふさわしい英文を作ります。正答率は18.0%でした。いくつかの条件が与えられ、それを踏まえて書きますが、これらの条件はヒントにもなっています。教科書に出てくる重要構文や慣用表現などを覚えておくといいでしょう。
問6から問8までの3問は長文読解問題です。
小問は全部で8問でしたが、正答率70%を超えたのは問8のアだけでした。問6のウ、問8のイ・ウは50%を下回っています。単に問題文(英文)を読むだけでなく、資料(今回はチラシ、問い合わせフォーム)や、表・グラフなどを読み取る必要があります。時間配分も意識した対策が必要でしょう。
(編集部補足)
過去問題は、数年分遡っていくと問題傾向がより分かりやすくなります。1年分だけでなくさらに前年度へ、比較分析していくことをお勧めします。
<前年度分析(2024年度/令和6年度入試):よみうり進学メディア>
〈2025年度〉神奈川県 公立高「入試問題 傾向と対策は?」【①全体傾向・数学・英語・国語】
〈2025年度〉神奈川県 公立高「入試問題 傾向と対策は?」【②全体傾向・数学・英語・国語】
<前々年度分析(2023年度/令和5年度入試):よみうり進学メディア>
・〈2024年度入試〉神奈川県 公立高「入試問題(共通選抜)その傾向と対策は?」【①全体傾向・数学・英語・国語】-令和6年度
・〈2024年度入試〉神奈川県 公立高「入試問題(共通選抜)その傾向と対策は?」【②理科・社会・まとめ】-令和6年度
<前々年度分析(2022年度/令和4年度入試):よみうり進学メディア>
・〈2023年度入試〉神奈川県 公立高「入試問題(共通選抜)その傾向と対策は?」【①全体傾向・数学・英語・国語】
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(よみうり進学メディア編集部)
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